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Side N
あー…
やっぱり出かけるんじゃなかったな。
「ニノくんってAのこと好きなの？」
俺の視線の先をぶった切るように
やけに攻撃的な声が耳元でキンと響く。
完全に忘れてた隣の存在。
俺としたことがね。
張り付いてた足を無理やり進めて角を曲がる。
「…別に？」
そろそろさ。
言われるとは思ってたのよ。
でも二宮さんだよ？
結構隠せてるはずなんだけどね。
それだけ俺のことよく見てるってこと？
や、今の態度じゃバレバレか。
「ふふ。別にって…。」
「好きか嫌いかの二択しかないっつーならね？
好きだよ。そりゃそーでしょ。」
言い訳がましかったかと
自分のセリフに少し後悔したけれど。
「…なるほどねー。
まぁオトモダチの櫻井くんの彼女だもんねぇ？
どーしようもないもんねぇ？ふふふっ。」
このタイミングで吹っかけてくるのは
どー考えてもワザとだろ？
「…なにが言いたいワケ？」
「んー別に？自覚して欲しいだけだよ？
Aは櫻井くんの彼女だし
ニノくんの彼女は私だってこと。」
辿り着いたまーくん家の前。
「まぁ、Aが人の彼氏とるような女なら話は別。
…っていうかそんなの絶対許さないけど。」
聞きなれない低音で告げた最後の一言に
背筋が冷えてぐらりと地面が揺れる。
思わず口の端を歪めた俺を見て
ニッコリ満足げな顔で立ち去る後ろ姿。
なんでよ。
俺でしょ？悪いのは。
非難の対象は俺にしてよ。
まーくんとこの店の出入り口と
家の勝手口へ向かう細い路地の前で
立ち止まったまま思わず空を仰ぐ。
ついさっき喉元まで上がっていた決意が
しゅるしゅると音を立ててしぼんで
頭の中の俺が高速で計算を始める。
今、別れを切り出したら…どうなる？
カランと店のドアが開く音で我に返って
邪魔にならないよう慌てて路地裏へ駆け込む。
それでも思い浮かぶのはやっぱりAで。
動揺するたびすぐ揺らぐ瞳と
怒ったときに膨れるほっぺ
はにかみ笑いから小さく覗く八重歯に
くるくると面白いほどに変わる表情
なかったことになんて…出来るわけないじゃん。
日に日に込み上げるものが抑えられなくなって。
心が、指先が、欲しいって叫ぶんだよ。
二択だったら？
…なんてね、そんなの嘘。
他に山ほど選択肢があったって
答えなんて最初から決まってる。
ドアを開けて迎えてくれたまーくんが
ふわりと春の太陽みたいに笑った。
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でこぼこ(プロフ) - 櫻宮さん» ありがとうございます！とっても嬉しいお言葉(о´∀`о)単純な作者なので、きっと今日明日にはまた何話かUP出来ると思います（笑）最後まで是非お付き合いください(^^) (2019年11月8日 10時) (
レス) id: deca25d402 (このIDを非表示/違反報告)
櫻宮 - 実はこういったお話が凄く好きで不器用だけど真っ直ぐな皆とか何か確執みたいなものを抱えているとか…でこぼこさんの作品をもっと読みたいと思いました！ (2019年11月6日 10時) (レス) id: 95d5f07b44 (このIDを非表示/違反報告)
でこぼこ(プロフ) - 櫻宮さん» コメントありがとうございます(*^^*)あやふやな関係やふわふわした感情に翻弄され気味の主人公が、嫌われたら可哀想だなと思っていたので、愛おしいと言って貰えたことがとっても嬉しい！櫻宮さんの言葉を励みに、また書き進めていきますね(´∀｀*) (2019年11月5日 16時) (レス) id: deca25d402 (このIDを非表示/違反報告)
櫻宮 - 皆不器用だけど真っ直ぐで…そんなあやふやな位置関係にいる主人公が健気で愛おしくて好きです。早く次が読みたい！ (2019年11月5日 12時) (レス) id: 95d5f07b44 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：でこぼこ | 作成日時：2018年11月29日 14時
