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Side N
倉田駅の裏について
商業施設が集まる通りを抜ける。
未だについてくる中崎に行先を聞くけど
のらりくらりと曖昧な返事しかこない。
ま、分かってんだけどね。
どーせ友達の家になんて口実なんでしょ。
そんなことさせてんのは
紛れもなく俺なんだって自覚ぐらいはあんの。
もうさ。止めようか。
こんな不毛なことは。
「…あのさ。」
欲しいものが手に入らないから
仕方なく50点で満足する中崎と
欲しいものがあげられないから
仕方なく50点の答えを返す俺。
や、50点は言い過ぎたな。
30点？20点てとこ？
「…中崎は満足してんの？こんなんで。」
「んー？満足…ではないかな。でもいーの。」
ポケットに突っ込んだ手をもぞもぞと動かすと
腕を握る手の力がぎゅっと強くなった。
ちらっと視線を流してみたら
普段から堂々とした佇まいの中崎が
強い眼差しで前を見据えてるのが伺える。
唐突に話し始めた俺の話を
そうやって即座に返せるってことはさ。
思うことは遠からずってコトじゃないの？
「私が満足してもしなくても
ニノくんの彼女には変わりないでしょ？
最近はしてくれないけど…
でも夏休みは…ほら、キスしてくれたし？
あれ嬉しかった。だって彼女しかできないし。」
チクチクと刺さる棘に
無意識で歩くペースが速くなる。
強引に迫られたぐらいで
面倒くささを理由にして
呆気なく応えた自分を心底後悔した。
「それにね。」
次の角を曲がればまーくん家はもうすぐそこ。
「私、ハジメテはニノくんにって決めてるの。」
笑いを含んだ声で囁くように告げられた言葉に
危うく立ち止まりそうになりながら
バカみたいに重い足を動かし続ける。
やっぱね。もうやめよう。
これ以上、傷が深くなる前に。
お互いを傷つけあう前に。
俺が悪いって認めるから。
ちゃんと終わりにするべきなんだって。
そっちだってホントは分かってんでしょ？
差し掛かった曲がり角
ふいに映ったガラス越しの風景で
今度は完全に足が止まった。
何やら楽しそうに
ポテトを口いっぱい頬張る翔ちゃんと
それを指さして照れたように笑うアイツ。
それはどっからどう見ても
幸せを共にする彼氏彼女で。
緊張からなのか何なのか
翔ちゃんの前ではいつも少しだけ控えめなAが
俺といる時みたいにくるくると表情を変えていて
心の隅にあった小さな優越感がぐにゃりと歪んだ。
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でこぼこ(プロフ) - 櫻宮さん» ありがとうございます！とっても嬉しいお言葉(о´∀`о)単純な作者なので、きっと今日明日にはまた何話かUP出来ると思います（笑）最後まで是非お付き合いください(^^) (2019年11月8日 10時) (
レス) id: deca25d402 (このIDを非表示/違反報告)
櫻宮 - 実はこういったお話が凄く好きで不器用だけど真っ直ぐな皆とか何か確執みたいなものを抱えているとか…でこぼこさんの作品をもっと読みたいと思いました！ (2019年11月6日 10時) (レス) id: 95d5f07b44 (このIDを非表示/違反報告)
でこぼこ(プロフ) - 櫻宮さん» コメントありがとうございます(*^^*)あやふやな関係やふわふわした感情に翻弄され気味の主人公が、嫌われたら可哀想だなと思っていたので、愛おしいと言って貰えたことがとっても嬉しい！櫻宮さんの言葉を励みに、また書き進めていきますね(´∀｀*) (2019年11月5日 16時) (レス) id: deca25d402 (このIDを非表示/違反報告)
櫻宮 - 皆不器用だけど真っ直ぐで…そんなあやふやな位置関係にいる主人公が健気で愛おしくて好きです。早く次が読みたい！ (2019年11月5日 12時) (レス) id: 95d5f07b44 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：でこぼこ | 作成日時：2018年11月29日 14時
