でっかい愛

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大林先輩の方は気付いてなくて、
扉前に立って、外を見てる。


「大丈夫。俺がおるから」


並んで座った神ちゃんの手首、ぎゅっと握りしめた。


神ちゃん、こくんってうなづいてさ。


電車が揺れ出したら、眠くなったのか、
身体も合わせて、グラグラし始めたから。

サラサラの髪に腕回して、
頭、俺の肩に引き寄せたった。


いつも前触れなく突然眠ってまうんも、可愛いらしく感じる。


ヒートの後って、やっぱ疲れんのかな。


今朝も病院から出て来たもんな。

主治医の先生に相談に行ってたんかも。


オメガ性について、
俺なりに調べてみたけど、

個人差が激しいって、
どの記事にも書いてて、

まだ理解出来てないことだらけ。


神ちゃんは、新しい薬が合うてる言うてたしな。

ヒートの時は、

免疫力もやけど、
気持ちも落ちるし、

あんまり人と接触したくないって。


寂しいけど、無理強いしたくないから、
心配やけど、見守るしかない。


早く特別な関係になりたいけど、
焦ったら、傷付けてしまうと思うねん。


神ちゃんは、強がりで繊細やから。


ガタンと車両が揺れて、

神ちゃんが一瞬、目を覚ました。


はってなったのに。


また、すぐに眠りに落ちてく。


愛おしいなあ。


なんぼでも見てられるわ。












俺の気持ちは最高潮に盛り上がってる。


これ以下になることなんてないやろうけどな。


つまり、神ちゃんは俺の運命の人で間違いないって、
確信してる。


仕事は順調やし、
大林先輩にも、目立った動きはないし、

幸せそのものの日々。


実は、前から、
照史さんの結婚パーティーの後、告白しよって決めてた。


待ち遠しかったはずの、その日がやっとやって来たけど、
やっぱり緊張してる。


５月の第３土曜日大安吉日。


天気は快晴。


最高の告白日和。


今日から演技の彼氏やなくて、本物の彼氏になるねん。


神ちゃん、うなづいてくれるよな？



結婚パーティーは、午後の２時から始まった。


照史さんの奥さんになる人は、

明るく快活そうな笑顔の印象的な人。


神ちゃんとはあんまり似てないことに、

ちょっとほっとしたりして。

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