でっかい愛

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正直なところ、
神ちゃんの方は、

照史さんに恋焦がれてた感じはないねんけどな。


照史さんは、神ちゃんのこと、
ほんまに、本気で好きやったん、びしばし伝わるねん。


初めて淳太の経営するフレンチレストランで紹介された日ぃな。


トイレに立った時、

俺の後付けてきはって。


「重岡くん、ほんまにアルファか？」


そう確かめられた。


初対面とは思われへん、失礼な質問やで？


けど、それぐらいに、神ちゃんのことが心配なんやなって。


アルファやオメガは、
大体１００〜１２０人に一人の割合、言われてるから、
周りに、そうそうおるもんやない。


生まれた時に発行された、
身分証明のカード。


アルファの記載を見せたら、
やっと安心してはった。


「ほんまもんのアルファの人って滅多とおらんから。
疑ってごめんな？
智洋のこと、幸せにしてやって」


「その覚悟です」


「泣かせたら許さへんからな」


「泣かせませんって。
こない大好きやのに」


男同士の約束を交わしたんは、

神ちゃんには内緒や。



雛壇の新郎新婦の周りで記念撮影しとったら。


神ちゃんの主治医の濱田先生が、


「お二人さん並んで」


言うてくれて。


初めて、神ちゃんと二人で一緒に写真に写れた。


それだけで胸がいっぱい。


待ち受けにしたいぐらい、神ちゃん、可愛ええ写ってるし。


照史さんと、奥さんの美優さんも、

なんだかんだ、幸せそうで。


夕方頃、お開きになった後。

ほんわかした気持ちで、パーティー会場のホテルを出た。


引き出物の紙袋、片手に、

神ちゃんと並んで、夕陽に向かって歩いてる。


少し風が強いけど、

どんな向かい風も、二人なら平気やなんて。


神ちゃんとおると、気持ちが強くなる。


守ってあげたいって、

この子を笑顔にしたいって、

いつも思ってるせいかな。


歩道橋のてっぺんで、

神ちゃんは急に立ち止まった。


ここで告白しよって。


うん、ぎゅっと拳を握りしめる。


次のヒートが終わったらなんで、待ってられへん。


「・・・神ちゃん、あんな、俺」


「重岡。今までありがとな。
偽物の恋人ごっこ。
案外、楽しかったで」


声が重なった。

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