でっかい愛

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あの人が恋人やないって知っただけで、この浮かれよう。


ほんま、自分の単純さが何なら愛おしいわ。


「街一区画そのもの丸ごと、
美術館、カフェやレストラン、スイーツ専門店など、
中間コーポレーション様が手がけるということで、
今回、お手伝いをさせて頂きます。
まずは、全体像から見て頂きたいのですが・・・
ご要望などありましたらお気軽にお申し付け下さい」


神ちゃんが、図面とイメージ画像を出して、
淳太と担当の水谷さんに説明してる。


「イメージ通りです。
イメージ以上です。
特に、チョコレート専門店の内装、
シックで、好みです」


淳太は神ちゃんのセンスの良さに惚れ惚れしてる。


そらそうやろ！


神ちゃんは設計の天才やからな。


「僕ね、チョコレート大好きなんです。
だから嬉しくって。
こんな店内で食べたいなあって、
妄想しつつ、図面引きました」


なんて可愛ゆい。


「チョコレートも、やろ？
プリンもクレープもエクレアもタルトも大好きやん」


昼休みに、しょっちゅう食べてんの知ってるもん。


「重岡！内緒にしてや！」


ほんの一瞬やけど、ぷぅって、膨れた頬。


俺は見逃せへんかった。


あんまりにも可愛いくて、息止まりかけたもん。


淳太と水谷さんは、
資料に夢中で気付いてないっぼくて、安心。


あんな表情、俺だけにしか見せんといて欲しい。


付き合ってもないのに、この独占欲。


俺、大丈夫かな。


「じゃあ、何かあれば、営業の僕を通じて伝えてもらえれば。
オーブンまでよろしくお願いします」


頭下げて、中間コーポレーションを出て。


神ちゃんは、心底ほっとしたように、


「ふううっ」


おっきなため息をついた。


「どしたん？緊張した？」


「うん。
こんなおっきい仕事、初めてやもん」


「淳太、神ちゃんのセンスめちゃ気に入ってたで。
次の仕事も来るかもや」


「・・・次の仕事かあ。
そない先のことは考えられへんなあ」


呟いた神ちゃんの横顔が、やけに苦しそうで。

胸が痛くなる。
　

設計の仕事って、
アイデア出し続けていくん、
大変やろうし、

体調のこともあるもんな。

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