でっかい愛

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神ちゃんは、みんなの何倍も頑張ってるんや。


やからな、ご褒美あげたい。


せっかく、仕事上手くいってんし。

二人だけの、ちょっとした、前祝いしてもええよな？


「神ちゃん、仕事予定より早よ終わったしさ！
海行かへん？」


思いつきで言うてもうた。


「海？」


案の定、神ちゃんは目をぱちくり。


「ここから割と近いねん。
近くにバン屋さんあるから、
サンドイッチ買うてさ。
海で食べようや」


もちろん、俺はデートのつもり。


「うん、ええな、それも」


うなづいた神ちゃんの手。

思わず、取ってまいそうになって。


慌てて、引っ込めた。


距離感、掴めへん。


ヒートの時に抱きしめてしもたせいやな。


今の神ちゃんは、あの時みたいに、

消えてしまいそうな儚い空気も、
色気に裏打ちされた翳りも、

纏ってるわけちゃうのにな。


抱きしめたくて、苦しい。








テトラポット。

並んで座って、でサンドイッチを頬張る。


「また、そんな甘いのん食べて」


好きな子からかうんて、なんでこない楽しいねやろ。


「フルーツサンド、めちゃ美味いねんで！」


ムキになって言うてる神ちゃんが可愛い過ぎるんが、悪いと思う。


もぐもぐして、ご馳走様。


けどまだ、会社には戻りたないな。


神ちゃんも同じ気持ちやんな？


二人して、砂浜に降りて、裸足になって、ズボンの裾捲ってさ。


春風に吹かれながら、波打ち際を歩く。


神ちゃんは、今にも泣き出しそうな顔して、笑ってる。


その顔も好きやけど、切ないのは嫌や。


「神ちゃん、ヒート、きつかった？大丈夫やった？」


「平気やで。
インフルって言うちゃったからさ、
残りの半分は単なるサボり」


「なあんや！めちゃ心配したで！」


「ごめんごめん。
点滴打つことなってな。
点滴、ばり効くねん」


「へえ・・・医学の進歩やな」


「せやな。お医者さんに感謝や」


神ちゃんは恋人作る気はないん？


アルファの彼氏が出来たら。


ヒートの度に薬飲まんでもええねやろ？


俺がその彼氏になりたいのに。


その辺りの事情に詳しくないし、
プライベートな問題過ぎて、

迂闊なことは言われへん。

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