愛憎華伝【奴良リクオ】 (ページ39)

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旧校舎編+α ページ39

雪「…」

朝、部屋の締切ったカーテンの隙間から陽の光が漏れ顔にかかる

雪「ふわぁぁ」

人前では絶対にできないだらしない顔と大きな口で欠伸をしてのそのそとベッドから出る

雪「いってきます」

誰の返事も無い家には、もう慣れた

外に出ると向かうのは学校日行くために向かう駅へと続く道へ行く

のでは無く、幼なじみたちの住む屋敷へと足を運んだ

雪「…あ」

「ん？」

リクオたちの家へ向かおうとした時、ちょうど門のところでぬら組の幹部である牛鬼さんと出会った

雪「おはようございます」
牛鬼「…あぁ」

牛鬼さんの私を見る目はいつも冷たい

だけど、愛情深いが故にと私は知ってしまったからどうも憎めない不器用な妖怪(ひと)だ

それも、今では組を愛し大切に思うゆえのことだと理解しているが、やはり牛鬼さん並みの人に見られるのは迫力が違いすぎて少し緊張する

牛鬼「…して、なぜ君がここにいる」

雪「リクオと光ちゃんを待ってます

いつも一緒に登校しているので」

牛鬼「…そうか」

そう言うと牛鬼さんは、屋敷に入っていった

それを追うかのように私もぬら組の敷地内に入る

ドタドタドタ

光「り、りっくーん！待ってよ～！」

リクオ「ほら行くよ光！」

あ、2人とも来たみたいね

2人の元へ駆け寄ろうとかけ足で玄関のほうへ向かう

牛鬼さんとすれ違う

牛鬼「早くぬら組から離れろ

さもなくば、実力行使も止むおえまい

鬼神の花嫁よ」

雪「…」

カチャ、牛鬼の片手が刀へ伸びる

一瞬ドキッとしたが、こんな明るい場所でしかも、リクオがすぐ側にいるというのにこの人が私をどうこうするとは思えない

だから、じっとただ見つめ返した

幼い頃、鯉伴さんの言っていたことを思い出して

妖怪との戦いは畏れたら負けだ

牛鬼「ふん、肝のすわっている」

そう言うとスタスタと行ってしまった