愛憎華伝【奴良リクオ】 (ページ4)

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プロローグ3（これで最後です！）ページ4

遥か昔

ぬら組も出来ていないような大昔

逢魔城と呼ぼれる城があったそうな

そこは、人の住む所とは世界の違うところ

鬼神の住む城

その鬼神の力に魅了されし魍魎の住む城

人々は、畏れた

理由もなく、大嵐のように、吹き荒れる突風の如く暴虐の限りをつくす鬼神をどうにかしないとこの国は滅びると

しかし、鬼神の力は、底知れない

待っているのは、絶望か……

そう思っていた人々に、ある日平和が訪れた

鬼神は、もう城から出てこなくなったのだ

それも、時空すらを閉じて誰も入ってこれないように、誰も出れぬように

人々は、理由はわからないが、鬼神の怒りが収まったのだ。もう二度と、鬼神の怒りに触れないために社を建てた

そして、人々は時が移ろう中で鬼神の存在も忘れっていった

今となっては、その話を知る者もなぜ、鬼神が出てこなくなったのかその理由を知るものは極わずかであった

それを知るものはみな口を揃えて言う

鬼神は、とある村娘に恋をした

これからもずっと、その娘だけを愛しそばにい続けるだろう

なぜなら、その娘は、何度も転生し再び鬼神のもとへと嫁入りするのだから…と

鯉伴「鬼神の花嫁、ねぇ」

ぱたん、とため息混じりに言葉を吐き出し、古びた書物を閉じるのは、ぬら組二代目総大将魑魅魍魎の主の奴良鯉伴その人であった。

ぬら「十中八九、あの子は、雪ちゃんはそう
じゃろう。
大昔、一度だけ会ったことのあるお雪さんをそのまま子供にしたような子じゃ…。」

生まれてから、いや、産まれる前から運命が決まっている少女は、何も知らない。自分のことは、何も。

鯉伴「リクオは、大変な子に惚れちまったみてぇだなぁ」

ぬら「ははっ、それこそワシの孫よ」

相手は、強大中の強大。

あったことは無いが、自分でもなかなか苦戦しそうな相手だ。

このまま、あの娘への想いを大きくすれば必ずぶち当たる壁だ。

未来のことはまだ分からない。無限大だ。

鯉伴「息子には、自分の気持ちに正直でいて欲しい。
このまま、まっすぐと育って欲しいと思うのは、組の長として間違ってるか？」

ぬら「さぁ、だが、リクオは、ワシの孫じゃ
きっと立派な三代目になるぞ」

鯉伴「おいおい、あいつには選ばせるって言ったろ

…………て、いねぇし」

はぁ、だだっ広い部屋で鯉伴はため息をこぼした。

鯉伴「ま、大丈夫だろ」

その瞳には、信頼の色だげがあった。