愛憎華伝【奴良リクオ】 (ページ20)

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No side

バスが過ぎ去ったあと、リクオと光は奴良家まで歩き始めた

リクオ「…ねぇ、光」

突然足を止めたリクオの方を見る光の瞳はどこか弱々しい

光「なぁに？りっくん」

リクオ「僕、知らなかったよ

妖怪って悪い奴らなんだってこと

それでね、その…

ごめん!!!

僕、光が色んな妖怪に狙われてるっていうの
に手紙で僕んちに来たらいいなんて軽い事の
ように言って

……いや、だったよね…

自分を狙うヤツらと同じ妖怪の住む家なん
て」

昨日の集会で、リクオは、『陽光の乙女』について知った

『陽光の乙女』

闇の世界であろうが関係なく、

それすらも優しく包み込んで傷を癒し繁栄させる力を持って生まれた神の愛し子

人間からしても妖怪からしても喉から手が出るほど欲しい存在

そのため、光は人間からも妖怪からも守られるように生きてきたという

その光は、傷や病を癒し、血肉は力の大幅の上昇、

その生肝は、永遠の力と命を与え、

孕んだ子は、歴代随一の才もつ子が生まれ、

より一層一族を繁栄させることが出来る

それを求めて、ぬら組に保護されてもなお、虎視眈々と機会を狙っているものは少なくないという

光「そんなことないもん!!!!」

そんな、今まで自分を狙ってきたものと同じ『妖怪』と一緒に暮らすというのは、光にとって負担になっていたんじゃないかと考え俯くリクオは、光の叫び声によって上げさせられた

光「ひ、光は!!りっくんが好きだからっ、

りっくんのそばにいたくて、

支えたくて一緒にいるんだよ！

確かに、妖怪にも人間にもずっとずぅっと狙われて怖いことされそうになったことあるよ?!

それでも、中には優しい人たちも沢山いたもん!!

ぬら組の人達だってみんな、みんな温かいもん!!

それから、それから…っ、

ずっと好きな人のそばにいられるんやったら光はそれだけでいいもん!!

……光は、りっくんが光を必要としてくれてるからあの手紙を書いたと思ってたのに

……そうじゃないの？」

リクオ「……あ、ひか」

カラス「リクオ様ぁぁぁっ！光様ぁぁぁっ！」

言葉の続きは、突然の空からの声に阻まれた。