斜陽2【中原中也】

第65話 ページ15

貴女side(ストブリ)






ページには残酷な文字が並ぶ




『中原中也の父と名乗るN氏の研究所にて

中原中也は拷問を受けた


両手首を有刺鉄線で拘束

多数の弾痕。その内、深い胸と腹に杭

杭から電流

背中に四本の管。ここから薬品投与』




貴女｢っ…｣




ページから目を離し彼を見た



中原｢ん？｣



不思議そうな顔をする彼が



たった16歳の彼が


こんな残虐な拷問を受けていたなんて…




胸がぐちゃぐちゃにされているような感覚


呼吸すら肺を痛める刺激




私の16と彼の16では全然違う


それなのに彼は私の境遇を哀れんで優しくしてくれた




ここに綴られる拷問に比べたら


私が受けたものなどままごとに過ぎない



それなのに


『俺の責任だ』『こんな体になって』





中原｢どした｣



貴女｢………｣



中原｢おい、太宰、｣



森｢Aくん、｣






頬をあの雫が伝って行く





中原｢何を読んで＿＿｣


貴女｢…………｣


中原｢あァ……これか

結構痛かったぜあの引き籠り野郎｣





そう云い彼の手は私の涙を拭った




貴女｢…父親に…｣


中原｢まァ、最後まで読め｣




再び目を通せば


ポールヴェルレエヌの暴走を中也さんが汚濁で止め


N氏は死亡


横浜は中也さんによって守られた




そしてヴェルレエヌは生きており地下に幽閉


暗殺術の伝授を行っている





そこでファイルは終わった



銀さんと広津さんが云っていた暗殺の話はこれか…




中原｢その後の話は前に荒覇吐と一緒に説明した通りだ

ボスが幹部就任祝いで俺の両親を探してくれた。

この鉛の傷の説明と一緒にな｣



貴女｢…………｣





壮絶な過去に未だ胸が苦しい




森｢そのヴェルレエヌくんが五大幹部の一人だよ

今は訳あって幽閉中だが｣



貴女｢………そう、ですか｣




森｢そして


君にも幹部就任祝いを用意した｣



貴女｢……｣



森｢これだよ｣



何を渡されても喜べる気分ではないが



機嫌のいい時でも喜べるものではなかった




森｢それは君と太宰くんが何時、何処で会おうと


ポートマフィアは咎めない証明書だ｣



貴女｢………｣



森｢君から家族を奪ったのは私だが


せめて兄とは、と思ってね｣



貴女｢……感謝します｣



森｢探偵社にもその意を送ってある。｣



中原｢俺は反対だがな｣




中也さんが優しく笑った




中原｢さ、帰ろうぜ｣

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