吉良吉江は静かに暮らしたい (ページ11)

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吉良吉江は静かに暮らしたいページ11

生き物は何かを犠牲にして食物を得る。

それは生きていくために誰もが避けては通れない道だ。

他にも呼吸することも眠ることも生きていく上で重要であり、またそれらが欠ければ忽ち生命活動を脅かされる。

私にとって殺人も同じ。

殺さずにはいられない、生きていく上でどうしても必要なこと。

誰だって癖を持っているだろう？個性があるだろう？

人と違った癖だがどうにも出来ない。

「あぁトシキさん、」

キラークイーンで右手以外跡形もなく消し去り聞き出した名前を呼んで見た。

マービンとは違う感触、しっくりと来ないが遊び相手なら問題はないだろう。

「連れて帰れないのが残念ですが、今晩はマービンに内緒でよい一時を過ごしましょう。」

「それは駄目だ。」

後ろから聞き慣れた声が響く。

「吉江さんは約束を破るのか？」

「何を、」

「俺以外の右手を所持しないって言っただろう？」

「所持していません。一晩だけ過ごし後はちゃんと手を切ります。」

マンションに持ち帰るつもりはないし、何よりマービン以上の右手など存在しない。

「私は約束を破っていません！」

「いーや破ってる。目の前で浮気を見過ごせると思うか？」

ゾンビマンさんの恋人気取りに不快感を現せば彼はより一層笑みを深めた。

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