英くんが今日も愛しい【国見英】

42.弾ける ページ8

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『白布くん、携帯変えたら連絡先消えた』

「よかったですね」

『何が？…じゃなくて連絡先教えてよ』

「すみません…俺携帯持ってなくて…」

『今手に持ってるじゃん。もう少し丁寧に嘘ついてよ』



今年度から、白布くんは出勤を週一に減らした。

医学部の実習やら何やらが色々忙しくなったらしく、
こっちまで手が回らないんだと。


私が臨時出勤を出したが為に久々に会った白布くんに
テンション上がって絡みにいくと、

いつもの辛辣さが返ってきた。


あ、でも久々に聞くと何か嬉しいな。……私Mだったのかな。



『ねぇ白布くん、今度ご飯行こうよ』

「……行きません」

『なんでよー』



授業が終わって、リーダー業務に取り掛かる。
ついでに白布くんも残らせて手伝わせている。


時刻が22時を回ったところで、
すでに塾には私と白布くんしか残っておらず、

さっきまで話していたはずの教室長もいつの間にか帰っていた。


もう誰もいない塾。

気の置ける人と一緒というのは気楽なもので、
私も白布くんも白衣を脱いで机にはお菓子。

なんて幸せな職場。




「……国見が、いるでしょう」

『？…白布くん、英くんのこと嫌いなの？』

「っ、そうじゃないですけど…！」

『けど？』




白布くんのパソコンを打つ操作が止まって、
私も手を止めて白布くんを見る。




ねぇ何で白布くん、そんな顔するの。

何で…そんな泣きそうな顔。





「Aさんには…分かんないですよ…っ」





ねぇ、何で肩が震えてるの。





「年下は…恋愛対象にならないって…
Aさんが俺にそう言ったんじゃないですか…！」

『し、白布くん…？』




白布くんが、コッチを見てくれない。

一定時間操作されず暗くなったパソコンの画面に、
唇を噛み締めた白布くんの表情が映った。






………待って、どういうこと。







もしかして、白布くん、








…………私のこと、







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