恋愛小説のヒロインに悪女みたいな所があったら２ (ページ18)

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６２話ページ18

菜々花said

愛ちゃんの相談を受けてから、約1ヶ月。

例の“潰す”件についてだが、焦って動き出して怪しまれるといけないので、

とりあえず様子を見る日々を続けている。

今のところ、愛ちゃんの怒涛のアピールが効果を発揮してる様子は無い。

むしろ、桜哉君は鬱陶しがって愛ちゃんを避けている感じさえする。

このまま、私が何もしなくても勝手に嫌われてくれるのが1番いいんだけどなー。

「起立！」

ちょっとだけ黒い考え事をしていたら、いつの間にか石山先生の話が終わっていた。

学級委員の声でみんなが立ち上がり、帰りの挨拶をする。

「気を付け、礼！」

「「「さよならー。」」」

「菜々花ちゃん！」

「ん？」

部活へ行こうと桜哉君と一緒に教室を出かけたら、クラスの女子が話しかけてきた。

「菜々花ちゃんって、安田晴人君と付き合ってるの!?」

「･･････はい？」

「あの子さ、すごいイケメンで可愛くて2年生の間で人気なんだけどさ！」

「たまに菜々花ちゃんと2人で喋ってるじゃん？それでちょっと噂になってんの！」

「お似合いだよねーってみんな言ってるんだよ！」

「そ、そうなの？」

私との噂があることはもちろん、晴人君がそんなに注目されてるなんて知らなかった。

まあ確かに可愛い顔をしているし、あの人懐っこさだからわからなくもないけど。

「で、どうなの？やっぱり付き合ってるの!?」

「そんなわけないでしょ！晴人君はただの後輩だから！」

「でもさ、ぶっちゃけ付き合いたいって思ってるでしょ？」

「思ってない!!」

「えー、じゃあ～･･････。」

「楯野。」

今まで黙っていた桜哉君がいきなり出した声は、少し尖ったように聞こえた。

「え？」

「俺先行ってる。」

「あ、うん。ごめんね。」

いつもはなんだかんだ言って待っててくれるのに、急ぎの用事でもあったのかな。

「･･････じゃあ、菜々花ちゃんと晴人君は付き合ってないんだね？」

「はい、そうです。」

それから同じような質問に何度も答え続け、やっと納得してもらうことができた。

ちょっと2人で喋っていただけなのに、女子の噂ってやっぱり怖い。

「オッケー！なんか進展あったら教えてねー！」

「進展とかないから！」

ああ、やっと部活に行ける･･････。