61話(60話の続き) ページ17
─1ヶ月前─
「「「ありがとうございましたさようならー。」」」
その日の部活が終わって帰ろうとすると、
「あの、楯野先輩!」
愛ちゃんが話しかけてきた。
「どうしたの?」
「ちょっと相談したいことがあるんですけど、一緒に帰ってもいいですか?」
「相談したいこと?」
「はい。楯野先輩に相談したいんです。」
世話好きな性格の私は、こうやって頼られると弱い。
「わかった。じゃあ、先に下降りて待っててくれる?」
「はい、ありがとうございます!」
「桜哉君!ちょっと用事出来たから、先に帰ってて!」
「おー、わかった。」
桜哉君に今日の帰りの事を伝えてから、愛ちゃんを追って私も下に降りる。
「それしても・・・・・・。」
相談って、一体何だろう。
私に相談したいってことは、部活関係の事なのかな。
まさか、退部したいとか!?
もしそうだったら男ウケのために習得した聞き上手スキルで話を聞いてあげよう。
「愛ちゃん、お待たせ!」
「あ、せんぱ〜い!」
「早速だけどさ、相談って?」
「あ、あのですねー、実は私・・・・・・。」
言いづらそうに俯く愛ちゃんを見て、さっきの“退部説”が頭をよぎる。
「桜哉先輩の事が好きなんです!!」
「・・・・・・え。」
「仮入部の時に呼び込みしてたのを見て、一目惚れしちゃったんです!」
「実はこないだ告白したんですけど、ちょっとタイミングが早すぎたみたいで。」
「それで、楯野先輩って桜哉先輩と仲良いじゃないですか!」
「え?あ、うん、そうね。」
あんまりすごい勢いで話すので、思わず圧倒されてしまった。
まあ、愛ちゃんの態度からしてそうなのかなーとは思っていたから大した驚きはない。
「だから、色々と協力してもらえないかなって思ったんです!」
「なるほどねー。もちろんいいよ!先輩、応援しちゃう!」
・・・・・・なーんていうのは真っ赤な嘘で。
愛ちゃんには悪いけど、私に相談したのが運の尽きだ。
知ってしまった以上、絶対に“潰す”。
それも、私が黒幕だとは絶対にわからないようなやり方でね。
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作者名:鈴蘭姫 x他1人 | 作成日時:2017年3月19日 10時