【カゲプロ】大丈夫、救うよ。【カノ】

夜咄...3 ページ4

入口に立ち並んでる列を見て軽く嫌気がさしながらも
近くの列の後方につく。

「そういえば、名前なんていうの？」
「Aです。」
「Aちゃんね、おっけー。」
沈黙が流れる。
まぁ、初めて会った人だししょうがないか。
「…長いね、列。」
「ですね。」
再び沈黙。
まぁ今のは私の返しがいけなかったんだけど…。

気まずくなって視線をそらすと、

「うっわー…」
「ん？どうかした？」
「いえ、リアじゅ…仲のよろしい男女の二人組が多いなぁと。」
イチャイチャイチャイチャ！ここは公共の場ですけど!?
「あはは、僕らも手とか繋ぐ？」
…一応カップルだもんな、設定。
「…そうですね。」
「え！」
「え？」
何で驚く…ってあぁ、説明し忘れてたな。
「すみません、言ってなかったですね。
さっきのチケット、カップル専用なんです。」
「あぁ、そういう事ね。

…じゃぁそれなりにそれっぽくする？」

悪戯っ子みたいにニヤッと笑って指を絡ませる。
その笑顔と仕草に不覚にもときめいてしまう。
え、私の趣味ってこういうのなの!?

まぁ、確かにカノさんの顔とか好みですけど…

「…カノさん、かっこいいですね。」
「…何それ？恋人みたいに惚気けてるつもり？」
変わらない笑顔のままそう言い返すカノさんに、同じように笑ってみせる。
「素直になるの、大事だと思います。」
「っ…」
心ん中では驚いたのバレバレなんですからね！
驚いた顔からもう一度笑顔を作って、カノさんは言った。

「なら、恋人らしくカノって呼んでよ、A。」
「了解しました。」

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