契約 1 ページ5
「あぁ、なんておぞましい」
新しい悪魔の気配がして来てみれば、そこまで大きくはない村の住人たちは全員食い殺され、血や内臓があたりに巻き散らかされていた
気配をたどり墓地の側の古びた物置に入ると、そこには小さな体と、大きな影を持つ悪魔がいた。
腐乱し骨が見え始めている死体の山のそばに力なく横たわる小さな体はここから見てもはっきりわかる通り、頭と足がなく、先程からピクリとも動かない。
近付こうと足を踏み出そうとしたとき、足元の影が大きく膨れ上がり鋭い歯を持つ異形の化け物へと姿を変え、小さな体を守るようにして立ちふさがり大きな目で私を睨みつけた。
「やぁ、はじめまして」
大きな影の唸り声が聞こえるばかりで返事はない。
体のほうが本体なのだろうが、こちらに気づいている様子はない。
一歩近付く。
その瞬間大きな影が襲い掛かってきたが、軽く弾くと影は一瞬で煙のように消えてしまった。
体の近くまで行きじっくりと小さな体を観察する。
首がない為わかりにくいが男性、かなり若いようだ。
手首には強く縛られたと思われる跡が赤くハッキリと残っており、首と指の断面は今しがた切断されたばかりのように赤い新鮮な肉が見えているのに対し、足の方の切断面は焼かれたようになっていた。
ただの死体に見えなくもないが、その心臓は動いているし、何よりその体から発せられている気配は間違いなく悪魔のものだ。
彼と同じような状態の死体の山のそばにいるところを見るに、何者かに痛めつけられて殺されここへ捨てられたのだろう。
しかし、そこにある体以外の頭や足などのパーツはどこにもなかった。
「はじめまして。私はザカリーだ、君は？」
もう一度声をかけるがやはり反応がない。
しゃがんで今度は体を揺さぶってみるがやはり反応はない。
気を失っていたり、眠っているわけでもないのに無反応とはどういうことか。
気配や状態を見るにこちらが本体で間違いないはずだ。
少し考え、その理由に気が付く。
頭がないからだ。
頭がないから、何も聞こえないし、何も見えないし、何も感じられないのか。
きっと、何かを考えたりすることもできないのだろう。
そんな状態で彼は悪魔として生きている。元々人間だった悪魔は人間だったときに失ったものは治らない、今ここでついた傷は治っても頭や手足は戻らない。
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P様さん - ドーナツの所可愛すぎてめっちゃ好きです！更新楽しみにしてます……！ (2023年4月17日 22時) (
レス) @page30 id: 44cbacd699 (このIDを非表示/違反報告)
降臨の颯 - 続編おめでとうございます。これからも応援しています。 (2022年2月25日 21時) (レス) @page4 id: 7248708266 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：衛生兵079 | 作成日時：2022年2月25日 1時
