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愛し子 1 ページ12

僕が生まれ育った家が昨日火事になったと連絡が入った。

 両親は無事かと連絡を取ろうとしたが繋がらない。

 きっと、きっと火事の混乱で電話に出られないだけだ、そうに違いない、そう思おうとしていた時に警察から連絡があった。

 焼け跡から死体が3体見つかったらしい。

 2体は歯の治療痕などから父さんと母さんであることは間違いないと言う。

 電話口から聞こえる声と近くで楽しそうに遊ぶ妻とまだ幼い娘の声が次第の遠のいていき、そこで目の前が真っ暗になった。

 気がつくと僕は車を走らせ、実家へと向かっていた。

 妻と娘も一緒に乗っていた。

 二人とも不安そうな顔で僕を見ていた。僕も同じくらい不安な顔をしていたと思う。

 僕が育った、思い出の詰まった家は無惨にも焼け落ち、規制のテープが貼られ数人の警官や消防隊員が出入りしていた。

 近くにいた警官に声をかけ話を聞くと、二人の遺体は安置所に運ばれているという。

 妻と娘を近くのビジネスホテルに置いて、僕は急いでそこへと向かった。

 まだ僕にたくさん愛を注いでくれて、大好きだった両親の死を信じたくなくて、遺体を見るまでは現実を受け入れられなかった。

 安置所へ着くと、何やら職員たちが騒がしく、非常に慌てている。

 死体が動いた、あれは化け物だ、そんな訳の分からない会話が時折聞こえてきた。

 しかし、今こっちはそれどころじゃない。

 慌ただしく動く職員を捕まえて両親のことを話し、無理矢理案内してもらうとそこが騒ぎの中心になっていた。

 そして肝心の両親の遺体はそこにはなかった。

 どういうことかと聞くと、両親とともに見つかった焼死体が突然動き出し、両親の遺体ごといつの間にか消えてしまったのだという。

 そんなことあり得るはずがない。集団で幻覚でも見たのではないかと思った。

 しかし遺体は確かにここへ運ばれたとしっかり記録が残っていることも、確実に二人は亡くなったことも残された書類や痕跡などで確認した。

 全く理由は分からないが、なぜか遺体だけが忽然と消えてしまったのだ。

 結局僕はどうすることもできず、両親を亡くした悲しみと遺体が消えたという混乱の中妻子の待つホテルへと戻ることしかできなかった。

 ホテルに戻った頃にはすっかり夜も遅い時間になっていて、すでに娘は寝ていた。

 出迎えた妻は僕の顔を見て非常に驚いていた。それほどに酷い顔をしていたらしい。

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P様さん - ドーナツの所可愛すぎてめっちゃ好きです!更新楽しみにしてます……! (2023年4月17日 22時) (レス) @page30 id: 44cbacd699 (このIDを非表示/違反報告)
降臨の颯 - 続編おめでとうございます。これからも応援しています。 (2022年2月25日 21時) (レス) @page4 id: 7248708266 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:衛生兵079 | 作成日時:2022年2月25日 1時

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