烈火 6 ページ32
「させません」
地を這うような声でレフトが言う。
ランタンの中の炎はバチバチと音を立てて激しく燃え上がり、辺りをより一層強く照らした。
「じゃあ、お前でもいいかもな。さっきのとか順位を見る限り、そこらの人間より強いだけのただの雑魚みたいだしな」
モノクロが馬鹿にしたような笑顔を浮かべて言うと、レフトの炎が少しだけ弱まった。
「……アリアお嬢様、下がっていてください」
そう言われた少女は小さくうなずき、レフトの背後に隠れるようにして下がった。
「気をつけてね、レフト」
不安げな少女の声。
「ほら、来るぞ」
小さな声でモノクロが言う。
レフトの手のひらの上に小さな火が現れたかと思うと、それは一瞬にして大きな火柱に変わり、辺りを煌々と照らす。
コンテナの隙間もはっきりと見えるほどに明るい、それだけ強烈な炎は離れた場所でも熱気が伝わり、肌がチリチリと焼けるような感じがする。
背筋を伝う汗は炎の熱のせいか、それとも冷や汗か。
「消し炭になるといい、悪魔共」
そう言ってレフトが大きく腕を振ると、火柱は通路いっぱいに広がり壁のようになって押し寄せてきた。
先程の火球よりも遥かに大きく燃え盛る炎の壁。
通路は狭く、逃げ場はない。
どうする?
モノクロの方を見ようとした次の瞬間、体が宙を舞い、高く積まれたコンテナの一番上にぴったりと落下した。
どうやらモノクロが移動させたらしい。また間一髪のところだった。
ホッとしたのもつかの間、上着の端に火が燃え移っているのに気がつく。次の瞬間には火は生き物のように動いて広がり始めた。
慌てて上着を脱いで投げ捨て、その場から少し離れる。
火は青く燃え、あっという間に上着を包み込み炭にしてしまった。
「うわぁ……」
そうだ、モノクロは?
あたりを見回すがその姿はない。
まだ通路に?
これで黒焦げになっているような悪魔ではないと分かってはいるが、少々不安な気持ちでコンテナの上から身を乗りだし、燃え盛る狭い通路を見るとモノクロは平気そうにそのど真ん中に立っていた。
あれだけの炎の威力だったにも関わらず、火傷どころか傷一つついていない。
「へぇ、なるほど。これは良い」
満足そうにモノクロが笑う、しかし直後なんとも言えない表情へと変わった。
「いない」
「え?」
モノクロの視線の先を追うと、先程までレフトと少女がいたところには誰もいなくなっていた。
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凪 - ネタ帳からきました。待ってやっぱりモノクロ好っきぃ!!! (2021年12月25日 21時) (レス) id: 7248708266 (このIDを非表示/違反報告)
ふな(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!更新頑張って下さい! (2021年7月24日 20時) (レス) id: eed263cb5f (このIDを非表示/違反報告)
Cry cry - 続きが楽しみです。がんばりんごー! (2021年6月22日 16時) (レス) id: 72089608d6 (このIDを非表示/違反報告)
ソウルズ(カービィ)LOVE(プロフ) - ワーッ!(?)どうも!はじめまして!読ませて頂きましたが、すんごく面白いです!頑張って下さい!応援してます! (2021年6月18日 21時) (レス) id: 604407214b (このIDを非表示/違反報告)
まきぴろん(プロフ) - 遅れてごめんなさい(汗)完成しました!!ありがとうございました。 (2021年1月4日 12時) (レス) id: 24af0dff4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:衛生兵079 | 作成日時:2020年11月2日 14時