病気とは言わないで

臆病な彼女　３ ページ36

「あ！ キミもいたんだ！」

　バタバタと足音を立てて、ジャックがこっちに向かってくる。

　どうやら私のことを探してたようだった。

　ジャックの姿を見て、イートは小さく震えていた。確か最初に会ったとき、食べないでと言っていたが、ジャックが何か…………。

　ざわり、彼女の髪の毛が動いた気がした。

「あぁ、ジャック」

「アリスもいる！ 食べてもいい？ どうせなくならないんだし」

　その言葉を聞いて一気にイートの顔から血の気が引いたのが分かった。

「嫌だ！ 食べないでぇ！！」

　イートが叫んだ。

　瞬間水色が広がった。

　その水色におもちゃのように吹っ飛ばされ、ジャックは思い切り壁に叩きつけられる。

　一瞬のことで私には何がなんだか分からなくて混乱していると、イートがまた叫んだ。

「だめ！ やめて！」

『別に構わないだろう？ お前にとって有害なやつは排除すべきだ』

　水色が口を開く。

　化け物だ。人間なんか余裕でひとのみにできそうな水色の化け物がいた。

「殺すのは、ダメだよエイト。またいなくなっちゃう…………」

『でもあいつはお前を食おうとしたんだぞ？ お前だって怖がっていたじゃあないか』

「違う。だからって…………」

　エイトと呼ばれた化け物の体の先はイートと繋がっていた。水色の化け物はイートの髪の毛の一部だった。

　

　

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