臆病な彼女 2 ページ35
あの後、一旦彼女を落ち着かせて、ゆっくりお風呂に入った後、私達は食堂に来ていた。
別にご飯を食べに来たわけではなく、この病院には談話室のような場所がないため、食堂で話そうということだった。
「すみません。先程は取り乱して。あの、私、迷惑をかけてしまって……。ごめんなさい」
ぐすぐすと鼻をすすりながら水色の髪をした少女が言う。
「別に気にしなくていいわよ。驚かせた私達が悪かったんだし」
「でも……」
「気にしなくていいわよ」
「私……、怖がりでちょっとした物音でもびっくりするぐらいで、さっきみたいに勘違いなんかも多くて……。勉強も運動も苦手だし、本当に駄目な子です」
そう言って彼女は目を伏せる。
「ユ、ユカさん!」
すると思いきったように顔を上げ、大きな声で言った。
「こんな私とお友達になっていただけませんか!?」
「は?」
一瞬何がなんだか分からなかった。
「と、年も同じくらいだし、ユカさんも最近来たばっかりらしいですし、仲良くなれそうな気がするんです。それに、私一人じゃ駄目だから、誰かに居て欲しいんです……。だからお願いします!」
「あ……、えっと…………」
「いいじゃない。"お友達"になってあげたら?」
くすくすとアリスさんが笑う。
こういうときはどんな答えがいいんだろう。どう答えれば…………。
「うん」
考えに考えてやっと出た最低限の2文字は、今にも消えてしまいそうだった。
「わあぁ……。嬉しいです!」
それでも彼女は顔を真っ赤にして喜んでくれた。
「お友達、初めて出来ましたぁ」
「あ、よろしく、ね。えっと……」
「あっ、私のことはイートって呼んでください!」
幸せオーラ全開。というのはこの事なのだろうか。こっちもついにやにやしてしまう。
本当は私も初めての友達だから、同じくらい嬉しい。
すると、大きな音を立てて食堂の入り口が開いた。
「あぁ! ユカここにいたんだ!」
そう言って食堂に入ってきたその姿を見て、イートの表情が凍った。
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闇の花 - イラスト方も全部見せてもらいました!!イラストも本編も両方神です!!キャラクターに恋して見に来たらもっと萌えました♡ (2021年10月31日 21時) (レス) id: c41fddad3f (このIDを非表示/違反報告)
玄米 - これを読むために占いツクール開いています!全部ではないですがほぼ読みました。面白かったです!ここまで読んだのはこの作品が初めてです。 (2021年1月5日 19時) (レス) id: 7e3b04a730 (このIDを非表示/違反報告)
こと(プロフ) - ジャックがすごい好きです!!面白くて一気読みしました。その後、もう一度じっくり読むと、「やっぱおもしろい……!」ってなります。神作品!!! (2020年12月23日 21時) (レス) id: 70c8834e49 (このIDを非表示/違反報告)
lkwisterven - 201号室の二人がなぜかカップルに見えてしまってあああああああってなった (2020年1月5日 0時) (レス) id: c9c05fe7f4 (このIDを非表示/違反報告)
空百合@募集企画運営のため低浮上(プロフ) - 続編移行ですね……!これからどんな患者たちが出てくるのか、患者たちの病気は治療されるのか、気になることがまだまだたくさんあります…… (2018年6月10日 7時) (レス) id: 3dba0349b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:衛生兵079 | 作成日時:2017年10月8日 17時