14 . 少女と空 ページ14
フェンスにもたれかかって時間を過ごしていると、
不意に扉が開いた。
「みーつけた」
『…五条先生』
やっぱここに居たかーとニコニコしている先生は
こちらに寄ってきて隣に座った。
『何でここが分かったんですか…流石に二回連続で同じ場所だとは思わないだろうって考えたのに』
「ふっふっふー。大天才五条サンにかかればAのちっぽけで単純な思考なんてすぐに分かっちゃうんだなー何せ大天才だから!!
あっ待って待って無言で死のうとしないで」
なんかムカついてフェンスによじ登ったら全力で止められた。……何がしたいのこの人??
『別に今日は死にませんよ』
「んー?そうなの?珍しいね」
『死んで欲しいなら死にますけど』
「もー誰もそんなこと言ってないでしょ!」
プンプン!と口で効果音を言った先生を横目に、
フェンスの上に背を向けて座って空を眺める。
「今日はって、何か基準とかあんの?」
『そうですね……天気が悪い日はあまり死にたくないです』
今日も、鈍色の厚い雲が一面を覆っている。
そんな日はあまり気が進まないんです。
「そーゆーもん?普通死にたくなるとしたら逆じゃない?」
『まぁそうなのかもしれませんね』
だけど私は天気のいい日に死にたいです、
と言えばふーんと返される。
「確かに今まで死のうとしてた日も、よくよく考えてみたら天気のいい日だけだったね」
理由は?と聞かれるけど、特に深い理由も何も無い。
ただ、そんな素敵な日に死にたい。それだけ。
「へー、変わってんね」
『それは先生もだと思いますけど』
ただでさえ最強と謳われて多忙なのに、
こんな私に時間を割くなんて、変な人。
「ねぇ、死にたいの?」
緩やかに流れていく雲を数えていると、ふと声がかかった。
『まぁ』
大きな雲に引き寄せられて消えていく雲をぼんやりと見ていれば、
「……えいっ」
『え。ちょ、わっ、?!』
いきなり腕を引っ張られ、後ろに倒れ込む。
『きゅ、急に何すんですかっ死ぬかと思ったぁぁ……!!!』
恐怖にバクバクと激しく運動している心臓を抑えながら振り向こうとするけれど、
「んー、嫌だなぁ」
それは叶わず ぎゅ、と抱き締められた。
「僕はAが死んだら、嫌だよ」
その腕は優しくて、暖かくて、強くて。
初めて感じるその温度に、分からなくなった。
『……そう、ですか』
ただ、わからないの。
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万歩計 - 18話という少ない話の中でこんなにも満足感のある物語を読んだのは初めてです…!!人物の心情ともに移り変わりがすごい好きです。ありがとうございます!!!!! (8月28日 0時) (レス) @page20 id: ea7e9fe52a (このIDを非表示/違反報告)
トマトまと(プロフ) - 主人公ちゃんは死にたいわけではなかったんですね。なんだか0巻の乙骨くんと少し似ている気がします。主人公ちゃんに、生きてていいって認めてくれる人がいて良かったです!!素敵な作品を読ませていただき、ありがとうございました!!! (2022年1月15日 18時) (レス) id: 1d9d2ab89b (このIDを非表示/違反報告)
あきなっちゃん - どうしましょ、これの続編見たいんですけど!暇があったらでいいんで続編書いていただけますでしょうか? 無理なお願いですが、お願いします!! (2021年3月21日 16時) (レス) id: a918e7945d (このIDを非表示/違反報告)
みやこ(プロフ) - 無責任な事は言えませんが、しかし少なくとも私は今、のんちゃんさんがわざわざこうしてコメントをしてくれて心の底から嬉しく感じています。この先素敵な事があるのを楽しみにとりあえず生きてみるのはどうでしょう?貴方に沢山の幸せが訪れますように。 (2021年3月20日 19時) (レス) id: c3ae7dd961 (このIDを非表示/違反報告)
みやこ(プロフ) - かおりんさん» コメントありがとうございます!番外編書こうかな〜なんて思っている所なので、もし時間があれば見に来てやって下さい!最後まで読んで頂き本当にありがとうございました!!! (2021年3月20日 19時) (レス) id: c3ae7dd961 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みやこ | 作成日時:2021年3月7日 16時