MJ～remix～part 2【潤くんハピバ短編集】 (ページ40)

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今夜の潤は、なんだか記憶にある彼とはかなり雰囲気が異なっていた。

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オールバックに固められた髪形。夏だというのに羽織ってるワインレッドのロングコート

その背中には、暗くてはっきりとは見えなかったけれど

雄々しい龍の刺繍が施されているようだった。

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「な、なんだお前は…」

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おそらく、潤に殴り飛ばされたのであろう彼はナイフを握りしめて立ち上がる。

それを見た潤は盛大に溜息を吐いた。

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潤「脅しのつもりなんだろうけどさ、どうせ人相手に使ったことねえんだろ？

使いこなせないくせにそういうの振り回すなよ……」

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うああああ…と声を上げて走ってくる彼はきっとパニックに陥っていて

やれやれ、といった感じで潤が首を振った。

ぱしっと彼の腕を掴んだ潤はあっという間にナイフを奪うと

長い右足が私の恋人だった男性を綺麗に蹴り上げた。

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慣れた手つきで、奪ったナイフをくるくる、くるくる

手の中で回してもてあそびながら

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潤「俺もちょうど仕事の帰りでね、たまたま近くを通りかかったんだけど

もし俺がここにいなかったらと考えたらぞっとするよ。

………疲れてんだ、機嫌も悪い。

さっさと失せろ！！！」

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空気を震わせる怒号は、それこそ龍の咆哮のような迫力。

腰を抜かしながら、何度も転びながら無様に逃げていく婚約者だった男性の

後ろ姿を見送るのは、なんとも言えない複雑な心境だ。

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潤「………大丈夫？」

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ふわっと、私を包み込んだのは潤が脱いだロングコートで

しゃがみ込んで、心の底から心配してるみたいな表情で私の顔を覗きこむ。

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ああ、これだ。と確信する。

私が惹かれてやまないのは、この潤だ。

風貌は違っても、中身は変わらない。

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