嫌いでもいいよ。【mfmf】 (ページ15)

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つい怒鳴ってしまった。
でもAは表情一つ変えていない。
ただただ黙って俯いていた。

どうもAは、僕のことが苦手らしい。
昔からわかっていた。

嫌いでもいいよ。僕のこと嫌いでもいい。
でも僕はAのことずっと好きだ。

家族として。

だから家族の誰より構ったし
人1倍愛を注いだつもりだ。
うざいくらいに。

だから、もし何かあって泣いてたら。

そりゃあ心配するに決まってるでしょ。

はぁ、とため息を吐いて
Aが手帳を取り出した。

シャーペンで手帳に
すらすらと文字を書いている。

「嫌な夢見ただけ」

それだけ書いてある手帳を僕に見せた。
ほっと肩を撫で下ろす。

よかった。結構真面目に桐原くんの
せいかなって思ってしまってたから。

人を疑うのはやっぱり良くないな。

「大丈夫？」

こくりとAが頷く。
もういいでしょ、というふうに
部屋に入ろうとするから
慌てて「一緒に寝る？」と聞いた。

すると、ぎろりと睨まれた。
あ、さすがにだめか......。

前に同じようなことがあった時に
無理矢理一緒に寝たら一日中不機嫌だったし
今日は手を引いておこう......。

まあ、Aが寝るまで一緒に布団に入って
Aが寝たらAの部屋に作業道具持ってきて
その日僕は寝てなかったんだけど。

朝方のいつもAが起きる時間に布団に戻って、
寝たフリをして誤魔化したんだっけな。
ちょっと懐かしい。

今も昔もAは僕に心を開いていない。
泣いたところを見たことがない。
桐原くんはあるんだろうなって思うと
ちょっと嫉妬してしまう。

Aが桐原くんに懐いてるのは全然良いんだ。
誰と友達とかは人の勝手だし。

でも、桐原くんと遊ぶために
夜中出歩くのは危ないからやめてほしい。
最近物騒なニュースも多いし。

高2男子に対して過保護過ぎるかなぁ......
いやでも何かあってからじゃ怖いし......。

難しいな、なんか。