拝啓××様 4【銀魂】

大馬鹿野郎 ページ39

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それから、どれだけ経ったのだろう。入院してからの日数は書いた手紙の数を数えれば分かる筈なのだけれど、最早数える事も出来ないぐらい私の体は弱っていた。

面会謝絶の日もあれば、誰かが見舞いに来てくれる日もある。前みたいに毎日届けて貰えなくなってしまったから、何通か溜める形になってしまった。


(静か…)


時計の針の音、点滴の落ちる音。夜の静寂に包まれて私は横たわったまま窓の外へと目を向ける。今は春なのだろうか、病院の外に植えてある木には満開の桜が咲いていた。私の一番好きな花である。

そう言えば銀さんがくれた簪にも桜が咲いていた。ああ見えて人の事をちゃんと見ている人だ、ちゃんと好みの物を分かっている。


(あの時は素直に言えなかったんだっけ)


私は素直じゃなくて可愛くもないから、あの時すぐに笑顔で『ありがとう』が言えなかった。もっと素直で居れば良かった、もっと可愛くしておけば良かった。


(どうして…もっと優しく出来なかったのかな)


私の人生、後悔ばっかり。やり残した事ばっかり。馬鹿だなぁ…私、今更こんな事に気付くなんて。本当に、大馬鹿野郎。

会いたい、銀さんに…会いたい。もう、何も言えなくて良い。触れなくても良い、優しくされなくても良い。だから、だから。


(会いたい…)


泣かないと決めたから、だから涙は流さない。ただ、じっと目を瞑り…そして思い出す、今までの事。そして思い描く、これからの事。

もし、もう一度でもチャンスがあるのなら今度は絶対に間違えない。私は恐れたりしない。大切な人を失う事に比べれば、私が傷付くのなんて大した事ない。


(銀さん…)


不意に、風が吹いた。
室内に居るのに何故こんな事が起こるのか、ゆっくりと瞼を開ける。すると、窓に腰を掛ける人影がぼんやりと見えた。


「よォ、久し振りだなァ」


そこには…予想もしなかったあの人が居た。

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