あの日の後悔 ページ10
「てめェに…何が分かりやがるッ!」
「銀さん…!!」
一瞬、体が強張った。取り乱した高杉さんがそのまま銀さんに斬りかかるのではないかと思ったからだ。しかし、高杉さんは銀さんの胸倉を掴み悲痛とも取れる表情で銀さんを揺さぶる。
「てめェは悔しくねェのか!?俺達から先生を奪った奴らが…てめェに先生を奪わせた奴らがッ!!憎くはねェのかッ!?」
「…。」
銀さんは…何も言わない。私は「え…?」と困惑を隠さぬ表情で二人を見上げた。今のは…一体どういう意味なのか。
高杉さんは大切な人を失った、その人は銀さんや桂さんの先生でもある。だから、銀さんと桂さんも大切な人を失ったのと同意。
なのに…今の高杉さんの言い方だとどうしてもおかしいのだ。大切な人を失った、失わされてしまった…まさか、それが意味するのは。
「どうしてッ…どうして俺達なんぞを選んだッ!?」
銀さんは…大切な人達を、天秤に掛けられた?そのどうしようもない二択を誰かに迫られた?そんな、一体…どうしてそんな残酷な二択を。
もう頭はごちゃごちゃだった。高杉さんを否定した私だったが、いよいよ本当に高杉さんの憎しみに触れてしまった様な気がしたのだ。
だって高杉さんは先生が大切なだけじゃない…それと同じぐらい銀さんを大切に思ってる。それが痛いほど今分かってしまったのだ。
(高杉さん…)
人には決められない選択肢が幾多にも存在する。日々は常に選択ばかりで、その殆どは取るに足らない事ばかりなのに、本当に大切な場面ではどちらを取っても後悔する様に作られている。
理不尽な世界。
理想ばかりが鮮やかで、綺麗事ばかりが横行する。
そんな世界を憎いと思う高杉さんの気持ちが一瞬でも解ってしまった様で怖かった。…私もいつの日か大切な人を失った時、彼の様になる素質があるのかも知れない。それが、酷く恐怖感を覚えさせたのだ、高杉さんが未来の私の姿なのかも知れないと。
「どうしてだ…銀時……!!」
「…高杉」
震える高杉さんの肩に手を添えて銀さんは静かな声音で語る。「俺は俺の信じた道を進んだだけだ」と。
「今でも思うさ、あの時もし先生を選んでたらってな。でも、どっちを選んでも後悔をしてた。それは変わらねェ」
「…。」
「だからと言って先生を後追いするなんざあり得ねェし、てめェみたいに世界を相手取るなんざ考えもしねェさ」
だから、たった一つこれだけだ。
「後悔だけは増やさねェって決めたんだよ」
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月ヶ瀬ましろ(プロフ) - ダイスケさん» ありがとうございます!全力をかけて完結を目指したいと思いますね!! (2017年2月11日 19時) (レス) id: 9b1d9c93d0 (このIDを非表示/違反報告)
ダイスケ(プロフ) - 月ヶ瀬ましろさん» これからも頑張ってください!!( ´ ▽ ` )ノ (2017年2月11日 18時) (レス) id: e508cab75b (このIDを非表示/違反報告)
月ヶ瀬ましろ(プロフ) - ダイスケさん» コメントありがとうございます!わわ…お気に入りまで!お褒めに預かり光栄な限りです(´∀`*) (2017年2月11日 18時) (レス) id: 9b1d9c93d0 (このIDを非表示/違反報告)
ダイスケ(プロフ) - すごく面白いです!お気に入り登録しました! (2017年2月11日 15時) (レス) id: e508cab75b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月ヶ瀬ましろ | 作者ホームページ:http://twitter.com/hearty__smile
作成日時:2017年2月8日 21時