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それから約1時間後、悩みに悩んだ私は高杉さんの羽織を持って高杉さんの部屋の前に立ち尽くしていた。と、言うのも。


(…本当に大丈夫なのでしょうか)


何気なく投げられた羽織。何気なく、…本当に偶然だろうか。偶然その場に居たスパイである私に偶然にも鬼兵隊の総督が自分の自室に招き入れるだろうか。

そうで無くとも、私は鬼兵隊の新人という設定である。あの高杉晋助がそんなまだ信用も置けない様な人物を近付けるだろうか。周りの他の古参とすら距離を置いているのに。


(罠か…それとも、高杉晋助は思ったより頭が回らないのか)


十中八九前者だと私は思った。誰もが同じ結論を導き出すだろう、それなら何故。彼は目に見えやすく分かり易い罠を仕掛けたのか。

そこに、答えがある気がした。


「…。」


一応、直ぐ側には山崎さんが控えている。しかし、この部屋に足を踏み入れてしまえば私は一人で戦わなければいけない。高杉晋助は…抜かりない人物だ、きっと私を逃がしはしない。

指先が震えていた。でも、もう後戻りも出来ない事は良く分かっていた。運が良ければ何か情報が手に入るだろう。例え、私の命と引き換えだとしても。

覚悟を決めて扉を見据える。この先に高杉さんが居る、もう一寸の隙も作れない。…私は一思いに扉を開け放った。


「失礼します」


中はひどく広い和室であった。まぁ、鬼兵隊で一番偉い人の部屋だから当然だとは思うが…室内は人物に違わなく小綺麗で片付いていた。何となく銀さんとは正反対だろうな、と思う。


「…あぁ、わざわざ悪かったなァ」


暫くして部屋の奥から高杉さんが現れた。先程と同じ格好で彼は私から羽織を受け取ろうと手を伸ばす、私は少し警戒しつつも羽織を手渡そうと近付いた。

近付いた時に思った。空気が変だ、と。何だかピリッとしている…ヒヤリと背筋が凍るような高杉さんの笑みが直ぐ側にあった。でも、この部屋には高杉さん一人なのだ。だから、


「ククッ…」


間違いなくこの人が出す空気だ。伸ばした手はいとも簡単に引き寄せられ、気が付けばあっという間に私は高杉さんの胸の中に居た。まるで、まるで…それはロマンチックな映画のワンシーンの様に。

鼻を掠めるのはヤニの匂い、副長と同じだ。頬が触れる胸板は温かい、冷たい空気を出す人だというのに。…だから。

腹部に当てられた対照的な刀の冷たさにはすぐに気付いたのだ。

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設定タグ:銀魂 , 坂田銀時   
作品ジャンル:恋愛
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月ヶ瀬ましろ(プロフ) - ダイスケさん» ありがとうございます!全力をかけて完結を目指したいと思いますね!! (2017年2月11日 19時) (レス) id: 9b1d9c93d0 (このIDを非表示/違反報告)
ダイスケ(プロフ) - 月ヶ瀬ましろさん» これからも頑張ってください!!( ´ ▽ ` )ノ (2017年2月11日 18時) (レス) id: e508cab75b (このIDを非表示/違反報告)
月ヶ瀬ましろ(プロフ) - ダイスケさん» コメントありがとうございます!わわ…お気に入りまで!お褒めに預かり光栄な限りです(´∀`*) (2017年2月11日 18時) (レス) id: 9b1d9c93d0 (このIDを非表示/違反報告)
ダイスケ(プロフ) - すごく面白いです!お気に入り登録しました! (2017年2月11日 15時) (レス) id: e508cab75b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月ヶ瀬ましろ | 作者ホームページ:http://twitter.com/hearty__smile  
作成日時:2017年2月8日 21時

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