羞恥心いっぱいに ページ35
このチョコは銀さんにあげたのだから、もう銀さんの物である。一々どうして私に了解を得ようとするのか。
「どうぞ?お茶でも淹れてきた方が良いですか?」
「茶は要らん、お前がここに居ねェと意味がねーし」
銀さんは訳の分からない事を捲し立てると私の腕をがっちり掴んだ。そのまま私の手ごと箱の中に突っ込んで、私の手は見事にガトーショコラをキャッチ。再び銀さんの「食わせて?」と微笑みが降ってきた。
「いや…え、はい???」
「早く、食わせて?」
グググ、と銀さんは力任せに私の腕を引く。食わせてって…食わせてって!!そういう意味ですか!?私は「いやいやいや!」と顔を真っ赤にして叫んだ。
「おかしいですって!子供じゃないんですから自分で食べて下さいよ!!」
「おかしくねェよ。子供じゃねェんだから流れ察しろよ!!」
「どこにこんな流れがありましたか!?」
こんなこと恋人でも無いのに無理である、元より相手は好きな人、もっと無理である。私は「無理です!」とどうにか手を引こうとするのだが、どうにも銀さんの力は強過ぎる。逆に距離は縮められてしまった。
腕を掴んだまま銀さんは反対の手で腰を引き寄せる。近い距離にある銀さんの顔はニヤニヤしており何とも楽しそう、完全にからかわれている。
「む、無理です…」
「だーめ」
「恥ずかしいですって!!」
「さっきの詫びだと思えば簡単だろーが」
そうこう話している内にも手からガトーショコラはボロボロこぼれ落ち、畳の上が汚れていくのが分かった。銀さんは「早くしねーと全部落っこちるぞ」と口角を上げる。
「…意地悪」
「こちとらどんだけお預け食らったと思ってやがんだ」
「…うぅ」
恥ずかしくて仕方なくて目を逸らせば銀さんは「早く」と急かしてくる。もう、逃げられそうにもない。だってこの人…私の好きな人だし、こんなに懇願されて断れる訳がない。暫くして観念した私は「…口、開けて下さい」と小さな声で呟いた。
「ん」
「…。」
言われた通りに銀さんは目を瞑り口を開けた。私は早鐘の様に鳴る自分の心臓の音に頬を熱くしながら、ゆっくりと…ガトーショコラを銀さんの口元へと持って行く。
(うぅ…)
いくら目を瞑っていてくれるからといって恥ずかしさは消えない。私は恥ずかしさでどうにかなりそうになりながらも、銀さんの口の中へとガトーショコラを運んだのであった。
79人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
月ヶ瀬ましろ(プロフ) - ダイスケさん» ありがとうございます!全力をかけて完結を目指したいと思いますね!! (2017年2月11日 19時) (レス) id: 9b1d9c93d0 (このIDを非表示/違反報告)
ダイスケ(プロフ) - 月ヶ瀬ましろさん» これからも頑張ってください!!( ´ ▽ ` )ノ (2017年2月11日 18時) (レス) id: e508cab75b (このIDを非表示/違反報告)
月ヶ瀬ましろ(プロフ) - ダイスケさん» コメントありがとうございます!わわ…お気に入りまで!お褒めに預かり光栄な限りです(´∀`*) (2017年2月11日 18時) (レス) id: 9b1d9c93d0 (このIDを非表示/違反報告)
ダイスケ(プロフ) - すごく面白いです!お気に入り登録しました! (2017年2月11日 15時) (レス) id: e508cab75b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:月ヶ瀬ましろ | 作者ホームページ:http://twitter.com/hearty__smile
作成日時:2017年2月8日 21時