油断は禁物 ページ34
「正気に決まってるじゃないですか」
「お妙が料理上手とか本気で言ってんの!?」
どうにも銀さんの様子がおかしい、何でそんなに怪奇な物でも見る様な目で私を見て…、ん?あれ???お妙さんが…料理上手?
「あ、」
思い出した。
そう言えば前に神楽ちゃんが「アネゴはめちゃくそ料理下手アル。ダークマターネ」とか何とか言っていた様な気が…。
ようやくそんな話を思い出した私はゆっくりと今一度銀さんに顔を向ける。相変わらず銀さんは寝そべったまま「つーかあんなゴリラを美人だとしてもどうも思わねーし」と。
(何て事をしてしまったのでしょう…!!)
全部、私の勘違いだった。
お妙さんが凄いチョコを作ったと思ったのも、銀さんとお妙さんが好い仲だと思ったのも。全部、私の勘違い。それを銀さんの表情が十分過ぎる程に物語っていた。
私はガックリと項垂れて銀さんに「あの…ご迷惑おかけしました」と消え入りそうな声で謝った。銀さんは「はぁ…」と重い溜息を吐いて起き上がる。
「ようやっと分かりやがったか小娘、何も悲観的になる事ァねーだろ」
「そうですね…」
私が苦笑まじりに言うと銀さんは「ばーか」と私の頭をくしゃくしゃっと撫でた。久し振りに銀さんが笑顔で私の頭を撫でてくれた気がする。
「じゃ、ここまで散々尺取ったんだ。…くれるよな?」
「はい、あげますよ」
冗談めかして言う銀さんを私は笑って、部屋の奥に置いてあった赤いリボンでラッピングをした箱を手に銀さんの隣に座った。
「ハッピーバレンタイン、です」
「…おー、サンキュ」
ちょっと照れ臭いけど幸せな、ドタバタな1日を締めくくる気持ちで銀さんに箱を渡す。銀さんも少し顔を赤らめて受け取ってくれた。「開けていいか?」の言葉にコクリ、と頷く。
意外にも丁寧にリボンを解く銀さんの手を私はドギマギと見つめた。解いたリボンを横に置いて銀さんは箱を開ける。その様子に私は緊張しながらも銀さんの反応を待つ。
「美味そう」
「あ、味は…保証し兼ねます」
「いや、普通に美味そうだし。お前が頑張って作ったんなら何だって良いよ」
…優しい。
優し過ぎて先程の私の粗相がどんどん申し訳なくなります。私は「えへへ」と笑って銀さんの顔を見つめた、銀さんも同じ様に笑って、
「じゃあ、食わせて?」
めちゃくちゃ笑って、本当にびっくりするぐらいに笑って、もう笑うっていうのを通り越して何か企んだ様な笑顔で、そう言った。
79人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
月ヶ瀬ましろ(プロフ) - ダイスケさん» ありがとうございます!全力をかけて完結を目指したいと思いますね!! (2017年2月11日 19時) (レス) id: 9b1d9c93d0 (このIDを非表示/違反報告)
ダイスケ(プロフ) - 月ヶ瀬ましろさん» これからも頑張ってください!!( ´ ▽ ` )ノ (2017年2月11日 18時) (レス) id: e508cab75b (このIDを非表示/違反報告)
月ヶ瀬ましろ(プロフ) - ダイスケさん» コメントありがとうございます!わわ…お気に入りまで!お褒めに預かり光栄な限りです(´∀`*) (2017年2月11日 18時) (レス) id: 9b1d9c93d0 (このIDを非表示/違反報告)
ダイスケ(プロフ) - すごく面白いです!お気に入り登録しました! (2017年2月11日 15時) (レス) id: e508cab75b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:月ヶ瀬ましろ | 作者ホームページ:http://twitter.com/hearty__smile
作成日時:2017年2月8日 21時