ネガティブ上昇中 ページ33
「頭打ってねェか!?」
銀さんはすぐに起き上がると心配そうに私の肩を掴み顔を覗き込んだ。私はその慌てぶりに気圧されつつも「は、はい…大丈夫、です」と呟く。
「本当にか?無理してねェか?」
「大丈夫です、どこも痛くないです」
「はぁぁぁ…焦ったぁぁ〜〜」
銀さんは起こした体を再び脱力した様に床へと伸ばし、口を尖らせ「心配させんな馬鹿ヤロー」と。反対に私は体を起こして「ごめんなさい」と力なくこぼす。空いた襖から外を見れば既に副長も隊長も姿を消していた。
「あの…銀さん」
「なに?」
「怒って…ないんですか?」
さっき鬼の形相で追いかけて来たから…てっきり私は銀さんを怒らせてしまったと思っていた。だから後半はそれで逃げていたのだ。しかし銀さんは「は?」と首を傾げて、
「別に怒ってねーけど」
「じゃあ何で追いかけて来たんですか!」
「そりゃお前が逃げるからだろーが」
銀さんは寝そべったまま頭の後ろで手を組んで私の顔を見上げた。「んで、何でお前は逃げたんだ」と目を細めて今度こそ逃げられない様な視線を投げて。
「そ、れは…」
「さっきの答え、"俺"で合ってんだろ?一応確認で聞くけどよ」
「合って…ます」
なら何で、と銀さん。私は口ごもって俯いた、俯いても銀さんと目が合う事に気付いて慌てて顔を上げて天井を仰いだ。今この部屋の前を通った人が見たら変な光景である。
「折角作ってくれたのにくれねェのかよ」
「だって…見劣りするじゃないですか」
「何と比べてんだよ一体」
「…お妙さんですよ」
情けない気持ちいっぱいでポツリと呟いた。銀さんの顔を見るのが怖くて目は合わせられないけれど…言ってしまった。とうとうこんな小さな事で悩む私の小ささを暴露してしまった。
銀さんは暫く黙って…「何でお妙?」と。私はギュッと目を瞑り「だって…!」と震える声で紡ぐ。だっても何もお妙さんみたいな美人の後に渡せる勇気なんてあるはずない。
「お妙さんみたいに美人で料理上手な人に対して劣等感抱くなって言う方が無理な話だと思わないんですか!?」
ガバッと銀さんの顔を振り返れば…何だか銀さんは微妙な顔をしていた。うん、まぁ…やっぱり私みたいなつまらない事言う人嫌ですよね、知ってます。ネガティブ思考がどんどん上昇していく様だ。
見つめ合って数秒、微妙な顔をする銀さんは「お前正気なの?」と頬を引きつらせた。
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月ヶ瀬ましろ(プロフ) - ダイスケさん» ありがとうございます!全力をかけて完結を目指したいと思いますね!! (2017年2月11日 19時) (レス) id: 9b1d9c93d0 (このIDを非表示/違反報告)
ダイスケ(プロフ) - 月ヶ瀬ましろさん» これからも頑張ってください!!( ´ ▽ ` )ノ (2017年2月11日 18時) (レス) id: e508cab75b (このIDを非表示/違反報告)
月ヶ瀬ましろ(プロフ) - ダイスケさん» コメントありがとうございます!わわ…お気に入りまで!お褒めに預かり光栄な限りです(´∀`*) (2017年2月11日 18時) (レス) id: 9b1d9c93d0 (このIDを非表示/違反報告)
ダイスケ(プロフ) - すごく面白いです!お気に入り登録しました! (2017年2月11日 15時) (レス) id: e508cab75b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月ヶ瀬ましろ | 作者ホームページ:http://twitter.com/hearty__smile
作成日時:2017年2月8日 21時