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脱兎の如し逃げの姿勢 ページ32

てんやわんやでこれがラストクイズ。隊長は徐に私を肩から降ろすと副長と隊長との間に立たせた。


「まぁ、さっきからバレンタイン関連のクイズなんでねィ。最後もそれに倣っての出題でさァ」


隊長が意味あり気に笑う。反対側の副長もフッと笑みを浮かべた、一体どんな問題を出すつもりなのだろうか。期待はしないが単純に気になった。


「Aは昨晩アホみてェに大量のチョコを作ってやした。いつも世話になってる俺や土方さん、隊士達の分でさァ」
「だが、コイツにゃ誰より感謝してて渡してェ相手が居やがる」


交互に言葉を並べた隊長と副長はニッと不敵に笑って銀さんを見据えた。そして、今度は声を揃えて、


「「その相手とは誰でしょうか」」


私はその問題に言葉を失って、頭は真っ白なまま銀さんを見つめた。銀さんも私と同じ様に目を見張って私を見つめ返す。暫くの沈黙がその場には流れた。


「旦那、アンタもう分かってやすよね。初めっからコイツは用意してやしたよ」
「しかもコイツ昨日は一睡もしてねェ、一生懸命作ってやがったんだよ…」


副長はポン、と私の頭に手を乗せると鷲掴んでグシャグシャっと撫で回した。「全部てめェの為にな」と言葉を添えて。銀さんはその言葉に目を逸らした。


「答え…俺に言えってか」
「このクイズに正解したら、ちゃんとAと話す時間をあげやすよ」
「そうかよ」


銀さんは目を伏せて小さく溜息を吐いた。彼の中でももう答えは分かっているだろう、今度こそ本当に銀さんは正解する。銀さんの口が開けられた_____、


「それは…オ」
「ごめんなさい銀さん見逃して下さい!!」


そして私は…銀さんの答えを聞かぬまま、止めようとする二人を振り切って部屋へと飛び込んだ。ガタンッと勢いで襖を閉める。後手で襖を掴みながら私は「はぁ…はぁっ…」と息切れを起こしていた。


『おまっ…まだ逃げる気かよ!?』


慌てる銀さんの声、掴まれた襖をガタガタと鳴らして銀さんは意地でも開けようとする。私は「やっぱりチョコは渡せません!」と自室の奥に鎮座するラッピング済みの箱を見ながら叫んだ。

しかし、やはり私が銀さんに力で敵うなんて事はあるはずも無くて。


ガタンッ


「きゃっ…!!」
「A!」


無理やり開けられた襖にしがみ付いていた私は飛ばされて、相変わらず運動神経抜群な銀さんは上手く私の体をキャッチして。勢いでそのまま私達は室内に倒れ込むのであった。

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設定タグ:銀魂 , 坂田銀時   
作品ジャンル:恋愛
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月ヶ瀬ましろ(プロフ) - ダイスケさん» ありがとうございます!全力をかけて完結を目指したいと思いますね!! (2017年2月11日 19時) (レス) id: 9b1d9c93d0 (このIDを非表示/違反報告)
ダイスケ(プロフ) - 月ヶ瀬ましろさん» これからも頑張ってください!!( ´ ▽ ` )ノ (2017年2月11日 18時) (レス) id: e508cab75b (このIDを非表示/違反報告)
月ヶ瀬ましろ(プロフ) - ダイスケさん» コメントありがとうございます!わわ…お気に入りまで!お褒めに預かり光栄な限りです(´∀`*) (2017年2月11日 18時) (レス) id: 9b1d9c93d0 (このIDを非表示/違反報告)
ダイスケ(プロフ) - すごく面白いです!お気に入り登録しました! (2017年2月11日 15時) (レス) id: e508cab75b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月ヶ瀬ましろ | 作者ホームページ:http://twitter.com/hearty__smile  
作成日時:2017年2月8日 21時

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