真っ黒な笑顔の馬鹿 ページ29
隊長は飛び込んだ私を軽々と担ぎ上げると、すぐに追い付いた銀さんに向けてニタァと笑った。
「やぁやぁ、旦那じゃねーですかィ。こりゃまた鬼ごっこなんて古き良き健全な遊戯をするなんざ珍しい事で」
「お前の言い方いかがわしいなオイ。遊戯じゃなくて遊びって言え、いや遊びでもねーけど」
何でも良いけどソイツこっち寄越して、と銀さんは手を広げる。隊長は「どうすんの?」と私を仰いだ。当然ながら私は首を振って「無理です」と返す。
「だ、そうでさァ。一体何したのか知りやせんが嫌がってるので上司としてはちょっと譲り兼ねやすねィ」
「いや俺だって知らねーよ、寧ろ俺が知りてーよ。とにかく譲れ、それだけだ」
ズイ、ズイ。
徐々に近付く銀さん。私は隊長の肩の上で「どうしても無理です!」と叫んだ。顔を顰める隊長、キーンと耳が痛んだのだろう。
「ほら、この通りでさァ。今のAに何言っても無駄だって思わねーんですかィ?」
「無駄だろーが何だろーが、こちとら本意達してねェんだよ。目的達するまでは帰る気もねェ」
「だ、そうだ。A」
そう言われても…正直ここまで大事にした後に今更何もなかった様に出来ないし。あと、引き際を見失ったのもある。
私は頑として「今日はもう帰って下さい」の一点張りで銀さんは「絶対ェ帰らねェ」の一点張り。平行線とは正にコレである。
すると、隊長が「なら、コレで解決しやしょう」とニィと笑った。さっきから隊長は悪人ヅラばかりしてますが、大丈夫なのでしょうか。笑顔が真っ黒です、副長の肺よりも真っ黒です。
「コレって何だよ、一応検討してやるよ」
銀さんは不服そうだったがそう言った。それを聞いて隊長は良くぞ聞いてくれたと言わんばかりに「クイズでさァ」と。
「クイズだァ!?」
「そうでさァ、シンプル且つ画期的な打開策。それがクイズでさァ、しかも…内容はコイツに関する事。本当にAを譲って欲しいのなら簡単に答えられるはずでィ」
隊長は不敵に笑う。私は隊長の肩の上で心臓を鳴らせて予想外の展開にハラハラしていた。チョコ一つで何て大事にしてしまったのか…申し訳なさと後悔が募る。
「しゃあねェ。受けてやらァ」
「そうこねェと面白くねェ」
銀さんは腹を括った様で「じゃあ、質問言ってみろ」と腕を組んで言い放った。隊長はニタリと笑って、
「それじゃあ第1問、今年のバレンタイン。俺は何個チョコを貰ったでしょうか」
(隊長…)
私はそっと顔を覆った。
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月ヶ瀬ましろ(プロフ) - ダイスケさん» ありがとうございます!全力をかけて完結を目指したいと思いますね!! (2017年2月11日 19時) (レス) id: 9b1d9c93d0 (このIDを非表示/違反報告)
ダイスケ(プロフ) - 月ヶ瀬ましろさん» これからも頑張ってください!!( ´ ▽ ` )ノ (2017年2月11日 18時) (レス) id: e508cab75b (このIDを非表示/違反報告)
月ヶ瀬ましろ(プロフ) - ダイスケさん» コメントありがとうございます!わわ…お気に入りまで!お褒めに預かり光栄な限りです(´∀`*) (2017年2月11日 18時) (レス) id: 9b1d9c93d0 (このIDを非表示/違反報告)
ダイスケ(プロフ) - すごく面白いです!お気に入り登録しました! (2017年2月11日 15時) (レス) id: e508cab75b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月ヶ瀬ましろ | 作者ホームページ:http://twitter.com/hearty__smile
作成日時:2017年2月8日 21時