楽しい鬼ごっこ ページ28
(いや、まぁ…うん)
わざわざ言う方がおかしいかも知れない。わざわざ言いふらす様に言う方が大人気なくて変だと思うし、だからこれが普通だ。でも、
(銀さんは…本当は欲しくないかも知れない)
渡す相手が隊士の皆しかいない寂しい私に合わせて「欲しい」と言っただけで、本当は欲しい訳じゃなくて、そこは銀さんなりの方向性の間違った気遣いで。銀さんなりの優しさで。
(あぁ…嫌だなぁ)
頭の中はぐちゃぐちゃで目の前で繰り広げられるお妙さんと銀さんの会話が遠くに聞こえて、私はどんどん一人でマイナス思考の居た堪れない気持ちになって。目頭が熱い、下唇をグッと噛んで泣くのを堪えた。
「銀さん!」
「え、あ…あぁ、どうしたんだよ急に大声出して」
「明日…明日渡します!だから今日はもう帰って下さい!!!」
一方的にそう告げて、私は屯所の中へと走って行った。後ろからは「え!?オイ!!」と銀さんの声が聞こえたけれど、聞こえないフリをして私は自室へと向かって真っ直ぐに走る。
「おまっ…何だよ急に!!!」
「…っ!!!」
すると、まさかのまさかで銀さんが追いかけて来たのだ。てっきりこのまま銀さんは私を放って置いてくれると思ったのに…まさかの全力疾走で。
(ちょっ…銀さん足めちゃくちゃ速い…!!)
前のイメージがあったのが悪かった。前は私を抱えていたのだから、その分の負荷があって遅くなるのは当たり前。だけど、私はそこまで頭が回っていなかったから…まさか銀さんがこんなに足が速いとは思わなくて。
(すぐに追い付かれるじゃないですか!)
多分あと1分もあれば追い付かれる、いや30秒ぐらいかも知れない。とにかく後ろからオラオラ言いながら鬼の剣幕で走って来る銀さん。何で怒ってるの!?
もはや別の意味で逃げていた。さっきは仲良さ気な二人を見るのが嫌だったのに…今は、銀さんが怖い!!!何で怒ってるの!?私何かしましたか!?
「てめェ馬鹿ヤロー止まれやコラ!!」
「嫌です!止まったら殺されそうです!」
「ンな事するかッ!!痛ェ事しねーから止まれ!とにかく止まれ!!!!」
「いーやーでーすーッ!!!!」
私も全力疾走だった。とにかく逃げねば、捕まったら多分色々吐かされる。それだけは避けねばならない。とにかく足を止めずに必死に走った。すると、
「隊長!!」
タイミング良く隊長が現れたのだ。私は「匿って下さい!」と、にこやかに手を広げて待つ隊長の腕の中へと飛び込んだ。
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月ヶ瀬ましろ(プロフ) - ダイスケさん» ありがとうございます!全力をかけて完結を目指したいと思いますね!! (2017年2月11日 19時) (レス) id: 9b1d9c93d0 (このIDを非表示/違反報告)
ダイスケ(プロフ) - 月ヶ瀬ましろさん» これからも頑張ってください!!( ´ ▽ ` )ノ (2017年2月11日 18時) (レス) id: e508cab75b (このIDを非表示/違反報告)
月ヶ瀬ましろ(プロフ) - ダイスケさん» コメントありがとうございます!わわ…お気に入りまで!お褒めに預かり光栄な限りです(´∀`*) (2017年2月11日 18時) (レス) id: 9b1d9c93d0 (このIDを非表示/違反報告)
ダイスケ(プロフ) - すごく面白いです!お気に入り登録しました! (2017年2月11日 15時) (レス) id: e508cab75b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月ヶ瀬ましろ | 作者ホームページ:http://twitter.com/hearty__smile
作成日時:2017年2月8日 21時