逸らして避けて ページ27
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…。
夕暮時、いつも銀さんと歩く道には長く伸びた二人分の影。特に何も話をするでもなく私達は黙々と歩いていた。
「…。」
気まずいのか、気まずくないのか。それすら分からないぐらい私はモヤモヤしていて、自分の事しか見えない状態にあった。銀さんの顔を見ると、どうしてもお妙さんとのツーショットがチラついてしまう。本当に…モヤモヤする。
結局のところアレなのだ、私は銀さんの何って訳じゃない。友達と呼んで良いのか分からないし、恋人とは程遠い関係。何か約束して一緒に居る訳でもないし、嫉妬をするだなんておこがましいにも程がある。
(嫌になるなぁ…自分が)
今日は何故か銀さんも口数が少なかった。あんな口から生まれたような人なのに、何でこういう時に限って静かになるのか。こんな気持ちも八つ当たりだと分かってはいた。
やがて、本当に殆ど会話をしないまま屯所に着いてしまった。私は銀さんに一言告げて中に入ろうと門に手を掛けた。すると、
「あら?」
「え…」
私が門を開けるよりも前に中から門は開けられた。何故か、こんなタイミングで…お妙さんによって。本当に、何でお妙さんが真選組から出て来るのか。
お妙さんは数秒ほど目を瞬いて、そして私の背後にいる銀さんに気付くと…「あら、あらあら」と笑いを堪える様に口元に手を添えた。
「何だか今日は珍しい日ですね、こんな形で銀さんの弱味に出会えるなんて」
チラリ、と意味有り気な視線を私に向けるお妙さん。「え…?」と私は視線の意味が分からず狼狽える。背後では銀さんが「お前なぁ…」と額に手を当てて、
「それより、何でお前がこんなトコに居んの。ストーカーの家に乗り込むたァ随分と手荒だなオイ、あのゴリラ生きてっか?」
「あらやだ銀さんたら。何てったって今日はバレンタインじゃありませんか、いい金ヅル相手にチロルチョコを配らないで1日が終われる訳ないでしょう」
「お前えげつないね」
お妙さんは「うふふ」と笑うと「お返しは3倍返しが基本なんです」と。うん、お妙さん見た目とは裏腹にしたたかですね。私は苦笑しか出来ない。「ところで銀さんは何故ここに?」と今度はお妙さんが首を傾げた。
「あー…まぁ、何だ。アレだよ、アレアレ。ほら送って来た〜みたいな?ホントまじでそれ以外に理由は無いってゆーか何てゆーか」
銀さんはお妙さんから目を逸らして、何故かバレンタインの話を避ける様にそう言った。
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月ヶ瀬ましろ(プロフ) - ダイスケさん» ありがとうございます!全力をかけて完結を目指したいと思いますね!! (2017年2月11日 19時) (レス) id: 9b1d9c93d0 (このIDを非表示/違反報告)
ダイスケ(プロフ) - 月ヶ瀬ましろさん» これからも頑張ってください!!( ´ ▽ ` )ノ (2017年2月11日 18時) (レス) id: e508cab75b (このIDを非表示/違反報告)
月ヶ瀬ましろ(プロフ) - ダイスケさん» コメントありがとうございます!わわ…お気に入りまで!お褒めに預かり光栄な限りです(´∀`*) (2017年2月11日 18時) (レス) id: 9b1d9c93d0 (このIDを非表示/違反報告)
ダイスケ(プロフ) - すごく面白いです!お気に入り登録しました! (2017年2月11日 15時) (レス) id: e508cab75b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月ヶ瀬ましろ | 作者ホームページ:http://twitter.com/hearty__smile
作成日時:2017年2月8日 21時