名前要らずの関係は ページ25
見た目は意外と小さい、いつもヒールの高いブーツを履いていたから気付かなかったけど、この前抱き上げた時、意外と軽くて驚いた。
あぁ…真選組だけど、やっぱ女なのか。そう素直に思ったのだ。
それなのに無駄に我が強い。妙に頑固で譲らねェとこだって沢山だ。歳下のクセに生意気だなぁ…そう思ったら自然と笑みがこぼれる。
あとは良く泣く。ホントに良く泣く女。そういう時は普段は大人っぽい言葉遣いに反して子供みたいに泣くのだから少し困惑する。いつもより…優しい気持ちになる。
(…この気持ち、は)
この気持ちに名前などない、必要ないだろう。名前を付けて陳腐な物に、俗な物に、安っぽい物にする必要なんてない。愛だの恋だの、そういう物に片付けられないのだ。
「銀さん」
「あ?」
不意にお妙は小さく笑った。「鏡、見てきたらどうです?」と。俺は反射的に自分の顔に手をやる。
「今の銀さん…とっても穏やかな顔ですよ。きっと、その方の事が大切なんですね」
「…まーな」
大切に…決まっている。この町にある物全てが大切だ、だけど…だけど。つい出会って1年も満たないあの女が1番大切なのだ。理由など言わずとも、大切で愛しい存在だ。
「なら、きっと…その方も同じですよ」
「何を根拠に、」
「根拠なら…ありますよ」
お妙は着物の袖口から手鏡を取り出した。それを俺に向けて持つと、にっこり笑う。鏡に映る俺の顔は、やはり彼女の言う通り穏やかな物だった。
「いっつも適当で、フラフラしていて、どこにも身を置こうとしない貴方が…こんな幸せそうな顔をするんですもの。貴方にこんな表情を出させる方が貴方を悪く思うはず無いじゃないですか」
「お妙…」
「何も心配要らないですよ」
お妙の笑顔は…何だかこう母性的な物が滲み出る。自分は家族という括りとは縁遠かったから分からないが…こういう女はいい母親になりそうだ、俺は御免だが。
「お前アレな、もうちっと淑女ならすぐ嫁行けるな」
「あらやだ銀さん、私を口説くつもりですか?」
「ウン、お前だけは絶対ェ無理。ナイナイ」
今一度振り上げられた拳は今度こそ俺の右腹にクリティカルヒットした。めちゃくちゃ痛かったけれど…その分スッキリした。殴られてスッキリとかドMか、俺は。
まぁ、でも。
これで…覚悟は出来た。
大切なもの、それを守る為にしなければいけない事。それが明確になったのだ。
俺はどうしたってAが大切なのだから。
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月ヶ瀬ましろ(プロフ) - ダイスケさん» ありがとうございます!全力をかけて完結を目指したいと思いますね!! (2017年2月11日 19時) (レス) id: 9b1d9c93d0 (このIDを非表示/違反報告)
ダイスケ(プロフ) - 月ヶ瀬ましろさん» これからも頑張ってください!!( ´ ▽ ` )ノ (2017年2月11日 18時) (レス) id: e508cab75b (このIDを非表示/違反報告)
月ヶ瀬ましろ(プロフ) - ダイスケさん» コメントありがとうございます!わわ…お気に入りまで!お褒めに預かり光栄な限りです(´∀`*) (2017年2月11日 18時) (レス) id: 9b1d9c93d0 (このIDを非表示/違反報告)
ダイスケ(プロフ) - すごく面白いです!お気に入り登録しました! (2017年2月11日 15時) (レス) id: e508cab75b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月ヶ瀬ましろ | 作者ホームページ:http://twitter.com/hearty__smile
作成日時:2017年2月8日 21時