お似合いの二人 ページ22
「どうせ平の隊士達にも振舞うんでィ、ついでにチャチャッとやっちまえ」
「急に本命が義理臭に包まれましたね」
本命って何なんだろう本当に、隊長の隣で小さな溜息をこぼせばギュインッとハンドルを思い切り切られ「ぐぇ」と濁った声が口から漏れ出た。
「辛気臭ェ溜息やめろィ、車内の空気が悪くなんだろィ」
「急にハンドル切るの止めて下さい…まだ頭痛いんですから」
うぅ、と気持ち悪くなりかけた胸を撫でて私は何気なく外へと目を向けた。外の景色を見れば少しは気分も良くなるだろう、そんな気持ちからだった。そして、そこで私は予想外の物を見る事になるのであった。
「…あれ、銀さん?」
何気なく目を向けた先には見慣れた流水模様の着流し姿、何やら一軒の店の前で女の人と話しているようである。あれは…、
「あり?姐さんじゃねーかィ」
「姐さん…?」
「近藤さんのストーカー相手でィ」
「あぁ」
隊長の言葉に頷く、局長にストーカー紛いの事をされている女性の存在は知っていた。つまるところ彼女は新八くんのお姉さんであるお妙さんだ、実は初めてお目に掛かった。
「銀さんと仲良いんですか?」
店の前で話している二人、何の話をしているのかは流石に分かり得ないが楽しそうである。とっても仲睦まじくて…側から見れば"恋人同士"にも見えるかも知れない。
「どうだろうねィ。まぁ、あのメガネの姉貴な訳だし悪くはねーかもなァ」
「そうですか…」
"お似合いの二人"
嫌味なく、そう思った。お妙さんは優しそうで華やかで、女の人らしい柔らかさがあって。何となく…自分を見返して、どうにもならないなぁ…だなんて思ってしまう。
「…。」
ズキリ、と胸が痛んだ。鋭い針が刺さったみたいな…鋭い痛み。ほんの少しだけ息苦しくなった、そして…そんな自分が嫌にもなった。
「A?」
「…何でもありません」
心配そうに私の顔を覗き込む隊長に向けて、貼り付けた様な笑みを返す。これ以上見ていたら…もっとドロドロとした嫌な感情に流されそうだったから、もう二人を見たくは無かった。
車が交差点から動き出す。最後に窓から見えたのは、お妙さんから綺麗にラッピングされた箱を受け取る銀さんの横顔だった。
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月ヶ瀬ましろ(プロフ) - ダイスケさん» ありがとうございます!全力をかけて完結を目指したいと思いますね!! (2017年2月11日 19時) (レス) id: 9b1d9c93d0 (このIDを非表示/違反報告)
ダイスケ(プロフ) - 月ヶ瀬ましろさん» これからも頑張ってください!!( ´ ▽ ` )ノ (2017年2月11日 18時) (レス) id: e508cab75b (このIDを非表示/違反報告)
月ヶ瀬ましろ(プロフ) - ダイスケさん» コメントありがとうございます!わわ…お気に入りまで!お褒めに預かり光栄な限りです(´∀`*) (2017年2月11日 18時) (レス) id: 9b1d9c93d0 (このIDを非表示/違反報告)
ダイスケ(プロフ) - すごく面白いです!お気に入り登録しました! (2017年2月11日 15時) (レス) id: e508cab75b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月ヶ瀬ましろ | 作者ホームページ:http://twitter.com/hearty__smile
作成日時:2017年2月8日 21時