キャラ被り ページ3
船内はいかにも屈強そうな面子がウロウロとしている。持っている武器も上等、そこはやはり鬼兵隊印というか…抜かりない。
なるべくそれらに紛れる様に目立たぬ様に、私と山崎さんは周りに合わせていた。最初は不安だったが…どうやら最近は少なからず女性も入れているようだ。
(来島また子さん…あの人だけかと思っていました)
どうやら情報はかなり正確らしく、私が入ったら完全に浮くとばかり思ってもいたが、そんな事はないようだ。流石に戦えそうな人ばかりだが。
「…Aちゃん、あまりキョロキョロしない方が良いかも。そろそろ幹部連中が帰って来るらしいから」
「分かりました」
平の隊員達が騒ぎ出した。どうやら地上に降り立っていた幹部組が帰って来るらしく、そろそろ本当に鬼兵隊総督高杉晋助とも対面かも知れない、ゴクリと生唾を飲み込む。
「ただいまッス、ちゃんと働いてるッスか?」
バタン、と重々しい音を立てて開いた扉から顔を覗かせたのは例の来島また子さんであった。金色の髪をなびかせて、彼女は働く隊員達を見回す。
「留守の間にサボってた奴がいたあかつきには覚悟するッスよ」
そんな言葉をこぼしつつ、徐々に私と山崎さんとの距離を縮めてゆく。来島さんは働く隊員達を叱咤してゆき…そして。
「ん?」
私と目が合った。
「オイ、ちょっとそこの女。こっちに来るッス」
「え、…は、はい」
チラッと山崎さんにアイコンタクトを送れば「今は従った方が良い」と頷かれた。確かに変に逆らって怪しまれてはいけない。私はおずおずと来島さんの前に進み出た。
「あ、あの…」
「お前、いつから入隊したッスか?見かけない顔ッスよね」
「先週、入ったばかりで」
一応この台詞は用意済みであった。確かに鬼兵隊は先週に一斉入隊を許しており、膨大な新人の中になら上手く紛れ込める算段だったのだ。案の定来島さんは「あぁ、あの時の」と納得した。
(良かった、上手く誤魔化せました)
しかし。
「え、でも…お前どうみても銃使いッスよね?それなら私と被るから拒否しろって武市先輩に言った気が…」
「え、」
(う、嘘…!?)
うーん、と首を傾げる来島さん。その目は、多分に疑心を含んでいる。私は「え、えっと…」と上手い言い訳を探すのだが。
(な、何も思い付かない…!!)
どうしたら良いのか、どうすれば切り抜けられるのか。そうこう考えている内にどんどん冷や汗が着物を濡らしてゆく。
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月ヶ瀬ましろ(プロフ) - ダイスケさん» ありがとうございます!全力をかけて完結を目指したいと思いますね!! (2017年2月11日 19時) (レス) id: 9b1d9c93d0 (このIDを非表示/違反報告)
ダイスケ(プロフ) - 月ヶ瀬ましろさん» これからも頑張ってください!!( ´ ▽ ` )ノ (2017年2月11日 18時) (レス) id: e508cab75b (このIDを非表示/違反報告)
月ヶ瀬ましろ(プロフ) - ダイスケさん» コメントありがとうございます!わわ…お気に入りまで!お褒めに預かり光栄な限りです(´∀`*) (2017年2月11日 18時) (レス) id: 9b1d9c93d0 (このIDを非表示/違反報告)
ダイスケ(プロフ) - すごく面白いです!お気に入り登録しました! (2017年2月11日 15時) (レス) id: e508cab75b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月ヶ瀬ましろ | 作者ホームページ:http://twitter.com/hearty__smile
作成日時:2017年2月8日 21時