徹夜厳禁 ページ20
「…美味しく、なかったら」
ポツリとこぼす、今の今まで私は銀さんに手料理を振舞って貰う事はあれど振舞う事はなかった。あんな風体でも銀さんはかなりの料理上手だ、だから…すごく怖い。
「問題は味じゃねーだろィ」
「こういう時に限ってそういう事言うんですか」
「一番の問題は見た目でィ」
「どうしましょう想像より大変な事を言われました」
せめて気持ち、と言って欲しかった。だって気持ちなら…絶対に誰にも負けない自信がある。気持ちの強さがそのまま…味になったら良いのにな。
隊長はシュンとした私の頭をガシガシと無造作に撫でくり回すと…ぽいっと口の中に何かを突っ込んだ。
「徹夜厳禁、糖分補給でィ」
放り込まれたのは甘い甘いチョコレート。隊長の私への甘やかし具合はチョコレートよりもずっと甘い気がする。
「甘い…」
もぐもぐと口を動かして、本日何口目かとも分からぬチョコレートの味を私は噛み締めるのであった。
***
____そして、2月14日。
世が浮き足立つバレンタインデー、そんな一年で一番甘い日の早朝。私は……、
「…。」
目の下に隈を存分に作り、先程ようやく完成した銀さん宛の本命チョコをじぃ〜っと見つめていた。もう、本当に…疲れた。
「あり、結局徹夜かィ」
「…おはようございます」
「ひっでェ顔してらァ」
隊長は楽しそうに笑って私の頬をツンツンと突く、隊長の方はすっきりした顔で何よりだ。本当に…、
「うぉッ!!寝んな!!」
「…うぅ、……頭痛い」
ガックンと落ちた頭を掴んで隊長は呆れた様に「だから徹夜厳禁って言ったじゃねーか」と。でも、そうでもしないと完成しなかったのだから仕方ない。現に本当に先程焼き上がったばかりなのだ、このガトーショコラは。
「つーか、マジなラインナップじゃねーか。本気過ぎて引くわ」
「どの、口が、言って、んです、かッ!!」
貴方が本命を作れと話を出したのではないか、私はズキズキと痛む頭に手を当て睨み付ける。隊長は「まぁまぁ」と頭を撫でながらチョコの山を見つめた。
「にしても…馬鹿みてェにあらァ」
「そりゃあ隊士全員分ですし」
「ふーん」
と、種類豊富なチョコレートの山の中から隊長は一つのチョコを手に取って「こりゃ何でィ」と訝しげな顔をした。
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月ヶ瀬ましろ(プロフ) - ダイスケさん» ありがとうございます!全力をかけて完結を目指したいと思いますね!! (2017年2月11日 19時) (レス) id: 9b1d9c93d0 (このIDを非表示/違反報告)
ダイスケ(プロフ) - 月ヶ瀬ましろさん» これからも頑張ってください!!( ´ ▽ ` )ノ (2017年2月11日 18時) (レス) id: e508cab75b (このIDを非表示/違反報告)
月ヶ瀬ましろ(プロフ) - ダイスケさん» コメントありがとうございます!わわ…お気に入りまで!お褒めに預かり光栄な限りです(´∀`*) (2017年2月11日 18時) (レス) id: 9b1d9c93d0 (このIDを非表示/違反報告)
ダイスケ(プロフ) - すごく面白いです!お気に入り登録しました! (2017年2月11日 15時) (レス) id: e508cab75b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月ヶ瀬ましろ | 作者ホームページ:http://twitter.com/hearty__smile
作成日時:2017年2月8日 21時