拝啓××様 3【銀魂】

2月恒例行事 ページ18

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「あー土方くんじゃん」

「万事屋!?何でお前が…」



「しー、起きちゃうじゃん。
さっきからずっと寝てんのコイツ」

「…何でお前がAを抱き上げてんだ」


「成り行き？」
「…今度詳しく聞くからな」


「それは構わねーけど。
一個俺のお願い聞いてくれや」

「だっれがてめェなんかの…!」


「Aの事だよ」
「言ってみろ」


「何日も、とは言わねーが。
暫く休ませてやって」

「数日なら…まぁ、大丈夫だが」


「今日はマジで疲れてると思うし、
こんだけぐっすり寝てっからよ。

ちゃんと休ませてやりてーの」

「万事屋…」


「責めてやんなよ、
俺がもうこっぴどく叱ったから。

…じゃ、頼んだよ」






私の知らぬところで、こんな会話が繰り広げられてから…数ヶ月が経った。


「あーーーもうっ！！！」


2月、真選組の食堂内では私のそんな悲痛な叫び声がこだました。理由は歴然としており部屋中に充満するチョコレートの香りが一番の苦痛である。何と、明日はバレンタインなのだ。

例に漏れず女子として私もチョコレート作りに挑んでいるのだが、何しろここは真選組。男所帯で手作りチョコレートを振る舞おうとすれば、それはもう馬鹿みたいに量が多い。

いつも通り銀さんと甘味処で和菓子に舌鼓をうってから早5時間、もう両の手はズキズキと痛み出していたのだ。何というチョコレート地獄、甘い物好きな銀さんが見たらきっと喜ぶ光景なのだろう。


「はぁ…」


溜息を吐きながら湯煎で溶かしたチョコレートに生クリームを混ぜる、いくら甘い物が好きな方である私でも鬱屈した気分になっていた。


「世の雌豚は大変だねィ、こんな事毎年やってんのかィ」


1時間ほど前から私の前で見物していた隊長がしみじみと呟いた、無論この中には隊長へのチョコレートも混じっている。


「そうですよ、意外と大変なんですから。隊長なんかは貰う専門だろうですけど女の子はチョコレートまみれになりつつ毎年頑張っているんです」
「なんかエ□いな、チョコレートプレイか」
「明日それチョコ持ってきた女の子に言ったりしないで下さいよ」


もしそんな事を口走った矢先にはとんだブラッディバレンタインがお目見えしてしまう、いくら隊長でも流石に空気を読んで無難に一日を終わらせて頂きたいものだ。

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