想定範囲 ページ15
___パンッ。
短い発砲音、真っ直ぐに神威さんへと放たれた銃弾は彼の華麗な動きによってかわされる。まぁ、これは想定内。
さっきチラッと見て気付いたのだが神威さんは隙が少ない、普通だったら走りながらの銃撃戦では疎かになってしまう場所があるはずなのに普通の人よりずっと緊張感があるのだ。
真っ向勝負、それも足を止めてなら私はものの数分で殺られる自信がある。しかし今は走っているという状況、しかも私は銀さんの腕の中に居る。
(神威さんは銀さんを狙って撃ってる、だから私には撃たない)
この自信は何処から来るのだろうか、後から考えれば私はもの凄く戦術に関して馬鹿だなと自分で思った。狙う瞬間は番傘の弾が切れた時、次の弾を補充するタイミングが絶対に存在する。
「チッ…中々当たんないなぁ」
本当は体術戦の方が良いのに、と神威さんは愚痴をこぼした。どうやら体術戦に入れない事情があるみたいで、そして正にこれが弾切れのタイミングだったのだ。
(今だ…!!)
私は銀さんの腕から思い切り体を乗り出した、まぁまぁ高さがあるから落ちないか不安だったが「A!?」と銀さんが慌てて抱え直す。
(無茶してごめんなさい!)
今だけは目を瞑って下さい、と心の中で唱えて私は素早く引き金を引いた。_____バンッ、何度目かとも分からぬ銃声が響く。銃弾は神威さんの右肩を掠って、僅かな鮮血が飛び散った。
「…っ!?」
弾を補充していた神威さんはよっぽど想定外だったのか当たった右肩を見て足を止める。暫くそれをジッと見つめ…そして、
「正直、まだ遊び足らないんだけど…今日はもう良いや。他にお客さんが来ちゃったみたいだし」
にっこり笑うと、私達が通り過ぎた道のりに流れ込む大量の春雨相手に殴りかかるのだった。口元に確かな微笑を湛えて。
***
「あーーーーッ!!!つっかれたァァ!!」
銀さんがそんな叫び声を上げたのは船から降りて程なくした頃であった。相変わらず私を抱えたまま銀さんは小走りを続ける。
「もう降ろして下さい!誰も追って来てないんですから!!」
街中だから恥ずかしいだとか、そういう事では無かった。ここまで私を守りながら走ってくれた銀さんの体が心配だったのだ。けれども銀さんは一言「嫌だ」と言うばかりで。
「私だって走れますもん!!どうせ鈍臭いとか言いたいんでしょう!?」
可愛くないこの口が紡ぎ出すのは悪態ばかりである、助けて貰ったと言うのに。
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月ヶ瀬ましろ(プロフ) - ダイスケさん» ありがとうございます!全力をかけて完結を目指したいと思いますね!! (2017年2月11日 19時) (レス) id: 9b1d9c93d0 (このIDを非表示/違反報告)
ダイスケ(プロフ) - 月ヶ瀬ましろさん» これからも頑張ってください!!( ´ ▽ ` )ノ (2017年2月11日 18時) (レス) id: e508cab75b (このIDを非表示/違反報告)
月ヶ瀬ましろ(プロフ) - ダイスケさん» コメントありがとうございます!わわ…お気に入りまで!お褒めに預かり光栄な限りです(´∀`*) (2017年2月11日 18時) (レス) id: 9b1d9c93d0 (このIDを非表示/違反報告)
ダイスケ(プロフ) - すごく面白いです!お気に入り登録しました! (2017年2月11日 15時) (レス) id: e508cab75b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月ヶ瀬ましろ | 作者ホームページ:http://twitter.com/hearty__smile
作成日時:2017年2月8日 21時