拝啓××様 3【銀魂】 (ページ14)

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生きる覚悟ページ14

山崎さんは目をパチクリさせて、少し自嘲する様に笑う。

「実は…Aちゃんが高杉の部屋に入って行った後、割とすぐに神威が姿を見せたんです。それで、少し探りを入れに離れてまして…」
「ほォ、その間コイツを一人で高杉の元に行かせてた、と」
「そ、それは…すいません」

ギロリ、と山崎さんを睨み付ける銀さん。私は「で、でも！山崎さんも無事で良かったです！」とすかさずフォローを入れた。

会話に注意が向き過ぎない様に背後を追い続ける神威さんに目を向ければ、やはり走りながらも撃つ準備をしていた。

(このままだと…)

走る銀さんは銃弾を避けられないかも知れない、標的を定めた神威さんに気付き「銀さん！」と叫べば、ほぼ同時に番傘から銃弾は放たれた。

「あっぶねェな、オイ」

銀さんは木刀で銃弾を打ち払った、振り返ってもいないのに一体どうやって打ち払う事が可能なのか。続けざまにどんどん木刀で跳ね返してゆく。

「ぎ、銀さん凄いですね…」
「まーな、戦も重ねりゃ相手の手の内ぐれェはパターン化するさ」
「な、成る程…」

どうしよう、本当に逃げ切れそうだ。いや、全然どうしようとか何でも無いのだけれども。…思った以上に初めて見る銀さんの戦い方が熟練過ぎて。

(…凄いなぁ、私なんか全然ダメなのに)

若干落ち込みたくなった。こんな事を言っている場合ではないのだが…でも、私だって銀さんの役に立ちたい。不意に上げた顔に映るのは更に撃ち続けようと構える神威さん。

(…銀さん)

見上げた顔は汗で濡れていた、やっぱり私を抱えている分いつもより負荷がかかっているのだろう、口では絶対に認めはしないが。私は手にしていた銃を握り締めた。

「援護します」
「は？」
「だから銀さんは走る事に集中して下さい」
「おま、」
「大丈夫です、銀さんに教わったんですから」

信じて下さい、と微笑みかける。銀さんは暫く呆気に取られた様な顔を見せた後、

「一緒に…帰るんだったな」
「だから、一緒に戦うんです」
「無理はすんなよ」

私はコクリと頷き銃を持ち直した。銃口を向けた先には神威さん、流石に重傷を与えられはしないだろうが…走るスピードを緩めさせるぐらいは出来るかも知れない。

(覚悟を…決めよう)

一緒に帰るんだ、絶対にまた皆と笑い合うんだ。そう決めれば絶対に大丈夫、私には銀さんが居るんだから。

「…っ！！」

私は思い切り引き金を引いた。