絶対に死なせない ページ13
「俺が来なかったら…お前どうしてたよ?」
「そ、れは…」
「諦めてただろ」
だって…相手はあの高杉さんだったから。私は本当に怖くて、もう間に合わないと思って…諦めてしまったのだ。皆の元に帰りたいだとか言っておきながら…諦めた。
「『また明日』つったろ?何も言わずに居なくなるなんざ卑怯だろーが、残される方の身にもなりやがれ」
「考え…ましたもん。ちゃんと、考えて…答えを出したんです」
「あっそ、その割にこの世の終わりみてーな顔してたよな、お前」
「それは高杉さんが怖いから…!!」
事実、この世の終わりだったのだし。
このまま皆とも、銀さんとも…会えないと本気で思ったから。だから、だから…、
「死ぬ直前…いや、正確には死にそうになった直前なんですけどね」
思い出したのだ、色々と。本当は銀さんの事だけじゃなくて、これまで田舎で過ごして来た家族との思い出も、真選組の皆との思い出も、神楽ちゃんや新八くんの事も。
「そしたら、そしたらね…」
「…。」
「死にたくないって…思った。まだ生きたいって、…ここに来る前に全部覚悟は決めたのに、もうお別れなんだって言い聞かせたのに…まだ生きたいって」
グスッと鼻をすする、こんな時まで泣き虫な私は…ようやく少しだけ素直になれた気がする。ほんの少しだけ…本音をこぼす事が出来る気がする。
「私…、生きて……るんです、ね」
「あぁ」
「また、皆と笑えるんですね」
「そうだ」
ぎゅっと銀さんの首に抱き着く、もう離れたくない。もう死ぬような思いは…したくない。怖くて震える腕で彼に縋り付く、私の大切な人に。
銀さんは片手で私の髪をすくと、
「俺が、お前を死なせる訳ねーだろ」
そう言って「馬鹿だな」と言って笑った。その小さくて優しい囁きに私は心から『生きたい』と改めて噛み締めたのだ。もう『諦めない』とも。
「あはは、何だかお取り込み中?」
「「「!!!」」」
その声に振り返れば揺れるサーモンピンク、神威さんがニコニコと笑っていた。走る速度を緩めず銀さんは「撒くぞ」と。
「神威さん、多分撃ってくると思うんですけど反撃しないんですか?」
「向こうは高杉も居る、一対一なら考えねェ事もねーけどアイツ等いっぺんに両手取るとか流石に生きて帰れる自信ねーわ」
銀さんはそう言うと、はたと何かに気付いた様に山崎さんに目を向けた。
「そう言やあ、お前は今まで何処に隠れてたんだ?この乱戦で良くそんだけの傷で済んだな」
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月ヶ瀬ましろ(プロフ) - ダイスケさん» ありがとうございます!全力をかけて完結を目指したいと思いますね!! (2017年2月11日 19時) (レス) id: 9b1d9c93d0 (このIDを非表示/違反報告)
ダイスケ(プロフ) - 月ヶ瀬ましろさん» これからも頑張ってください!!( ´ ▽ ` )ノ (2017年2月11日 18時) (レス) id: e508cab75b (このIDを非表示/違反報告)
月ヶ瀬ましろ(プロフ) - ダイスケさん» コメントありがとうございます!わわ…お気に入りまで!お褒めに預かり光栄な限りです(´∀`*) (2017年2月11日 18時) (レス) id: 9b1d9c93d0 (このIDを非表示/違反報告)
ダイスケ(プロフ) - すごく面白いです!お気に入り登録しました! (2017年2月11日 15時) (レス) id: e508cab75b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月ヶ瀬ましろ | 作者ホームページ:http://twitter.com/hearty__smile
作成日時:2017年2月8日 21時