馬鹿女 ページ12
「大変だよAちゃん!!」
「山崎さん!?」
続けざまに部屋へと飛び込んで来たのは山崎さんだった。所々着物の端がボロボロになっている、一体何があったというのか。
「って、万事屋の旦那!?何でここに…」
「詳しい事は後だ、今は逃げるぞ」
そう言うや否や銀さんは私を素早く抱えて走り出した。
***
船内はどこもかしこもボロボロになっていた。本当に、私達が高杉さんと話している間に何があったのだろうか。
「マズいですよ、これもう本当に帰れないかも…」
「どういう騒ぎだこりゃ、それに何が大変なんだよ」
「春雨ですよ、春雨」
"春雨"
その名前を聞いて私の顔はサーっと青ざめる。どうしてあの宇宙最強の犯罪組織が高杉さん達の乗る船に居るのか。
「どうやら手を組んでしまったみたいですね…高杉一派と手を組んだのは第七師団、上の許可もナシに勝手にやった様で」
「それのどこがマズいんだよ」
「第七師団の団長、さっきの神威ってのは所謂モラルがないと言うか協調性がないと言うか。上の古参達は若い彼が勝手やるのが面白くないんでしょうね」
それで神威達を追って来て仲間割れ、この有様です。山崎さんは頭を抱えながらも懸命に足を動かしていた。
「と言うか…どうして旦那がこんな所に?」
「あぁ?そりゃ…」
チラリ、と私に目を向けて、
「何処ぞの馬鹿女が俺に黙って居なくなろうとしてやがったからなァ…連れ戻しに来たみたいな?」
「何処ぞの馬鹿女…」
山崎さんも私に目を向けて、「そうですか」と小さく微笑んだ。
「あの、銀さん」
「んだよ、アレだぞ。馬鹿女って言ったのは撤回しねェかんな、お前ホント馬鹿だもん。マジで帰ったら何か奢らせる」
「いえ、そうでは無くてですね」
私は必死に私を抱えながらも走る銀さんを見上げる。
「私も自分で走ります、降ろして下さい」
「駄目だ」
「え」
それは、と口ごもる。だってただでさえこの状況なのに、それで私を抱えて走るだなんてどれだけ大変な事だと思っているのか。
「別に女一人大した重さじゃねーし、そんな貧弱に見えっか?」
「でも…それだと私が納得しないと言うか申し訳ないと言うか」
「申し訳ねェ、な」
銀さんは「はぁ」と重い溜息を吐くと…抱える腕に力を込めて私達の距離が近付いた。
「本当にそう思ってんなら…もっと申し訳ねェと思いやがれ馬鹿」
「え…」
「俺の知らねェところで勝手に死のうとしてんじゃねーよ」
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月ヶ瀬ましろ(プロフ) - ダイスケさん» ありがとうございます!全力をかけて完結を目指したいと思いますね!! (2017年2月11日 19時) (レス) id: 9b1d9c93d0 (このIDを非表示/違反報告)
ダイスケ(プロフ) - 月ヶ瀬ましろさん» これからも頑張ってください!!( ´ ▽ ` )ノ (2017年2月11日 18時) (レス) id: e508cab75b (このIDを非表示/違反報告)
月ヶ瀬ましろ(プロフ) - ダイスケさん» コメントありがとうございます!わわ…お気に入りまで!お褒めに預かり光栄な限りです(´∀`*) (2017年2月11日 18時) (レス) id: 9b1d9c93d0 (このIDを非表示/違反報告)
ダイスケ(プロフ) - すごく面白いです!お気に入り登録しました! (2017年2月11日 15時) (レス) id: e508cab75b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月ヶ瀬ましろ | 作者ホームページ:http://twitter.com/hearty__smile
作成日時:2017年2月8日 21時