虎の娘《２》 (ページ40)

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Matsuda side

ちゃかがスタッフさんの目の前にさっきAちゃんが持ってきた写真を出す。

男「この写真…どこで…」

宮近「さっき思い出したんですけどこれ海人の同級生です」

A 「…え、」

俺たちも聞いていないことを突然話し始めるちゃか。

俺もAちゃんも咄嗟にちゃかの方を見る。

宮近「この子高校の時から海人のことめっちゃ好きで距離近くて、正直海人嫌がってたんですよ。この写真見たら分かると思うんですけど」

堂々とそう話すちゃかにみんな釘付けになっている。

宮近「なんか最近それがエスカレートしてたらしくて、トリプルカイトのグループにも何回か相談してきてたんです。証拠ならありますよ、見ますか？」

煽り気味にそう言ってスタッフさんのことを見つめている。

宮近「まあどう転じても海人がこの子と付き合いたいと思うことは無いと思うんで多分これそういうのじゃないです。手も無理やり繋がれたんじゃないですか？」

さらっとそう言って写真を投げ捨てる姿は本当に格好良くて俺でも惚れそうだった。

男「ですが先ほど中村さんが認められましたので…」

A 「…中村は、メンバー騙して遊ぶとかそんな勇気…無いと思います…」

どう考えても君の方が勇気無いでしょ、というぐらい弱々しくそう言ったAちゃん。

でも、Aちゃんが海人のことを信じていると知れてなんとなく嬉しくなった。

松田「海人はこれでいいの？明日発売でしょ、それ」

知らないけど多分週刊誌系は言われるとしても発売ギリギリだと思う。

そう言うと海人はさっきまでとは違う強い目をしてスタッフさんに向かい合った。

中村「さっき宮近の言った通りです。名前は知っていますが連絡先は持っていません。防犯カメラを見て頂ければこの一瞬以外一切関わっていないのが分かると思います」

さすがにそこまでする気は無いのか海人がそう言うとすぐに編集者さんに連絡を入れている。

中村「すみません、この部分は無かったことにして発売して頂けると嬉しいです」

海人がそう言ってスタッフさんが申し訳なさそうに頷いて俺たちは部屋を出た。