虎の娘 《２》

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Matsuda side









部屋を出た途端海人は今までに見たことがないぐらいの勢いで俺たちに頭を下げてきた。









中村 「本当に紛らわしいことして、心配と迷惑をかけてすみませんでした」









実際海人は何も悪いことはしていない。









でも、Aちゃんを傷付けたのは事実。









だから何も言わず許すことは出来なかった。









A 「…うみ、私たち程よい距離感が心地良いって言ってたけどこういうのはちゃんと言って欲しい」









本当にさっきまで弱々しく泣き崩れていたのかと思うぐらい海人をまっすぐ見てそう言ったAちゃん。









海人が大切にしていることはずっと分かっていたけど、なんだかんだAちゃんも一番信頼して大切に思ってるんじゃん。









こんなところを見ても未だに好きなのが悔しいけど、もう「奪いたい」なんて二度と思わないんだろうというぐらいふたりはお似合いだった。









中村 「…A泣いた？(笑)」









A 「…は、そりゃ泣くでしょ！私うみのこと信じてるんだよ、事務所で一番裏切らない人だって思ってるんだよ。そんな人に騙されたかもしれないって心折れるよ、純粋に」









中村 「ごめんごめん」









つい最近まで俺と同じようにAちゃんの言動に一喜一憂していたくせに慣れたようにAちゃんのことを抱きしめて頭を撫でる海人。









A 「彼氏だからとかじゃなくて、うみのこと人として好きなの…本当に頼りにしてるの。離れないで…」









弱々しくそう言ったAちゃんの言葉には何も言わないで、ただただ優しく抱きしめ続けている。









宮近 「…元太、先戻る？」









ふたりのことをずっと見ていると未だに好きなことを知っているちゃかが気を遣ってそう言ってくれる。









松田 「大丈夫。…なんか俺あのふたりカップルとして好きかも」









宮近 「メンバーとして好きになってあげて(笑)」









そして平和に四人で楽屋に戻る。









A 「ほんとにみんな心配かけてごめん！！うみ無罪です勝訴！」









さっきの泣き崩れたAちゃんの印象が最後なのもあって不安そうなみんなにいつものテンションでそう言うAちゃん。









こうやってさり気なく空気を変えられるところほんとに好き。

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