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医「肺の換気機能、簡単に言えば吸い込んだ酸素と吐き出したい二酸化炭素の交換が徐々に失われていく非常に珍しい病気です。この病気は18歳までの生存確率が10%と言われていて、治療法は現在の医療では肺移植のみとなっています」
降「.......18歳......10%.......?」
医者の"覚悟はいいか"との合図で始まった言葉は、全く身に覚えのない情報
だが降谷さんは違ったのか、
それとも二人でスキーへ行くくらい情が移ってしまったのか、
話が進むにつれ様子がおかしく
医「しかし昨日はまだ元気だったんですよね?これほど急激に悪化する事は肺によっぽどの負荷がかからない限りあり得ないと思われますが、Aさんの着られていた衣服を見る限り本日はスキーをされていたようですね。恐らく冬の冷たく乾いた空気に激しい運動、それが原因かと思います」
降「..........」
医「意識を失った直接的な理由は、肺の換気機能低下による酸素の欠如と二酸化炭素の蓄積でしょう」
降「.......つまり、その直前彼女はほとんど息が出来ていなかったという事ですか」
医「恐らく、はい」
降「......っ.......」
風「ふ、降谷さ
降「助かるんですよね?肺移植を行えばあの子は助かるんですよね?」
医「.......心臓ばかり重視されますが、肺も人間が生きるには必要不可欠な器官です。腎臓と違い肺ドナーはなかなか現れません。先程臓器移植ネットワークに問い合わせをしましたが、現在移植可能な肺は準備が無いそうです。それに彼女は低酸素脳症を引き起こしています。正直に言って、また目覚める可能性は.......」
そこで自分は上司が泣く姿を初めて見た
諸伏君の殉職の時にすら感情をひた隠しにしていたというのに
医「......ご家族が来られた際は我々ではなく警察からお話しされますか?何か事情があるのでしたら、え!刑事さん!」
風「!?降谷さ
降「お願いします、助けて下さい。肺なら用意します、費用もいくらでも出します。だからお願いします。どうか、どうかあの子を助けて下さい」
そう土下座まで
自分の目を信じられなかった
明るい髪を床になすり付けて、時折聞こえたのは鼻を啜る音
いつも自信に満ちて万能な降谷さんがこんなに崩れた姿を、どうしても信じられなかった
自分がまだ"そんな病気の記録なんて無かったじゃないか"と考えていた時に
降谷さんはずっと
"あの子は僕が殺したも同然だ"
と繰り返し
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belle(プロフ) - はじめまして!∂さんの書く作品全部大好きでいつも読ませていただいてます!物語作り文章にするのはとても大変だとは思いますが∂さんの作品なので作者さまの感性で自由に書いていただけた方が読者の私は嬉しいです!これからも応援しています! (2023年4月18日 21時) (レス) @page50 id: a2ba23688b (このIDを非表示/違反報告)
∂(プロフ) - toratora10さん» (ご指摘のつもりじゃなかったらごめんなさい)捜査会議盗聴したり違法行為爆盛りで有名な彼なのでご容赦を🙏出来る限りリアルに書くようにしてますが至らない部分も多いので、ファンタジーの一つとしてこれからもお楽しみ頂けると幸いです🙇♀️ (2023年1月16日 16時) (レス) id: 49eaddb046 (このIDを非表示/違反報告)
toratora10(プロフ) - コナン君、臓器提供関係の内部の秘密を漏らしたり、盗聴したら、アウト、ドナー者同士の極秘もあるからね。 (2023年1月16日 15時) (レス) @page7 id: d5d529a22f (このIDを非表示/違反報告)
yo(プロフ) - 泣いてしまったァァ。お話とっても好きです。応援してます! (2023年1月16日 2時) (レス) @page4 id: aa1640b2da (このIDを非表示/違反報告)
笹で巻く餅(プロフ) - ∂さんの書く降谷さんとシリアス大好きです😭更新頑張ってください (2023年1月16日 1時) (レス) @page4 id: 3ab7b84c9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:∂ | 作成日時:2023年1月15日 21時