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日々樹渉 ページ9

ちょっといつもと違うシリアス展開なんで注意
ーーー

…夢を見た。

普通の、交差点だった。
トラックが、ある1人の少女の体を跳ねた。
少女はその場で大きく体を打ち付けられる。
次の瞬間横断歩道で、1人の少女は倒れていた。
トラックはそのまま走り去った。
あとから分かったが、居眠り運転によるだったらしい。
駆け寄ろうと思った。
しかし、体は動かない。
周りに人が集まる。
騒ぎ立てる人たち。

”呼吸はあるか!”
”救急車はまだか!”

どんどん騒がしくなっていく背景。
私の意識は一旦、そこで途絶えた。







次に気がついたのは、病室だった。
窓からの風が吹き抜け、カーテンがゆらゆらと歓迎してくれているようだ。
どうやら外はもう夜らしい。
星が降っていた。
そのベッドの中に、彼女は眠っていた。
私は少女の頬に手を伸ばす。
しかし、触れることは出来なかった。

「…来てくれたんですね」

彼女が続ける。

「目をなくしました。…光が見えません。記憶もなくしました。…でも、あなたは…知ってる気がする」

そうだ、あなたは私を知っている。
私はなんの根拠もなくそう言った。

「…光が見たい。…星。」

独り言のようにつぶやく彼女に、今私が見えている無数の星たちは見えていない。
私が唯一できる魔法だって、彼女には見えない。

「そうですね…あなたの魔法も、見たいです」

そうでしょう、私の魔法は一級品ですから。
いい気になった私は、さらに続ける。
歌を歌いましょうか、小鳥のさえずりの真似も出来ます
その言葉は彼女には無視された。
その代わりに彼女はまた独り言のようにつぶやく。

「…私、一生このままなんでしょうか」

いいえ、とは答えられなかった。
私は知っている。
彼女は、死んでしまう。
私は知っていた。

「明日の夜…星がたくさん降るところへ連れて行ってくれませんか」

私は見えないと分かっていながらも、頷いた。
しかし、彼女は嬉しそうに笑う。
タイムリミットは、明日の夜まで。

*→←*



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ハム公(プロフ) - ほたるさん» 前作も読んでくださったんですね…!ありがとうございます!了解です。順番に消化していくので、遅くなる場合もありますが…必ず書きますので気を長くしてお待ちくださいm(_ _)m (2017年10月29日 23時) (レス) id: 9d4c60e419 (このIDを非表示/違反報告)
ほたる - はすみんが可愛すぎて死んだ・・前のやつの最初は笑いまくりました!!リクエストで私は君よりも〇〇さんが好き(憧れ的な意味、好きではない)と言ってみたをお願いします! (2017年10月29日 21時) (レス) id: 836cda0430 (このIDを非表示/違反報告)
ハム公(プロフ) - *神*威*さん» 了解です!ありがとうございます。 (2017年10月25日 0時) (レス) id: 9d4c60e419 (このIDを非表示/違反報告)
*神*威* - 誤字スミマセン!(笑)引き受けていただきありがとうございます!転校するでお願いします。 (2017年10月23日 9時) (レス) id: 662403215f (このIDを非表示/違反報告)
ハム公(プロフ) - よつぎさん» わーありがとうございます!転校する、ということですかね…?EveとAdam頑張ります…笑 (2017年10月22日 17時) (レス) id: 9d4c60e419 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鈴木 | 作成日時:2017年10月14日 23時

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