DDPC ― ﾄﾞｷﾄﾞｷﾊﾟｰｶｯｼｮﾝｸﾗﾌﾞ― (ページ1)

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憧れの為にページ1

真っ青な空にはためく、校章の旗。

汚れひとつ無い、輝かんばかりの真っ白な校舎。

新入生を祝福するように初々しく咲き誇る桜────

の時期ではないけれど、明るい新緑が私に手を振る。

よし、と拳を握りしめてみる。

(ここから、始まるんだ。私の憧れ……ううん、もう憧れじゃない！)

爽やかな風が、私の背中を押した。

真新しい青いセーラーがはためき、私は一歩を踏み出した────

………

「っはぁ！やっと終わった、全力は出し切ったぞ……」

転入試験を終えた私は、帰り道を歩いていた。

どうして、“転入”なのか？

それは、私が一年前に入試を受けられずに、入学を諦めてしまったからだ。

転入試験────入試当日に体調を崩すなんて馬鹿な私に差し出された救いの手。

いや、私だけにチャンスがあったわけじゃない。転入試験とはいえ、競争相手は居た。

けれど、それを忘れてしまうぐらいには、私には自信があった。

「悔しさをバネにして、あれだけ頑張ったんだもん！もう絶対受かってるよね、受かってなきゃ困るよ。」

応援してくれてるお母さんに示しがつかないしねえ、とひとりでに笑う。

結果はまだ決まっていないのに、そのまま上機嫌で家に帰り、その日の夕方の結果発表に備えた。

「……じゃあ、いくわよ？」

お母さんが緊張した面持ちでパソコンを見つめる。大丈夫だって、受かってるよ！

タンっとキーボードを叩き、結果発表のページへ飛ぶ。

パッとが画面に表示された数字の中から、手元の票と同じものを探した。私とお母さん2人の視線が、忙しなく画面上を動く。

「……あ、あった」

「まあほんと！良かったじゃない！もうあなたってば能天気だから心配してたのよ?!ほんとに、もう……」

感極まって泣き出してしまうお母さんを窘めながら、私は達成感で胸がいっぱいになるのを感じていた。

(本当はちょっと不安だった。でもそんな不安感じたくなくて、ずっと調子に乗ってたけど……本当に受かって、よかった！)

その日の晩御飯は、私のリクエスト通り、大好きなお母さんのカレーだった。