・ LIFE ２２４ ページ38
.
数分後、やっぱり仕事が進まなくて、耕と同じ空間にいるのがほんの少しだけ辛くって逃げるようにICUを出た。
その足で来たのは優輔くんの場所。
大量の酸素を吸い込んで開けた病室のドア。
『優輔くん、』
優輔｢…なに、お父さんとお母さんに頼まれてA先生が説教しに来たの？｣
思わず苦笑。
『頼まれてもないし、説教でもないよ。ただ優輔くんと話したいなって、ダメ？』
優輔｢……ダメじゃ、ないよ。｣
傍らにあるパイプ椅子に腰掛けて優輔くんに声をかければ恐る恐る、こっちを見る。
優輔｢ねぇ、A先生はさ、…やっぱり移植受けた方がいいと思う？｣
『んー、……移植ってさ、受ける方も受けさせる方も怖いと思う。』
優輔｢え？｣
『移植はしたけど……人格が変わったり、合わなかったり、リハビリが大変だったり。
デメリットは山ほどあると思う。』
優輔｢……う、ん、｣
『でもそれでも。優輔くんのお母さんとお父さんはあなたが大切だから。
自分の大切な子供だから、どんな事をしてでも生きて欲しいって思うの。
……生きていれば嫌な事も良い事も数え切れないくらいある。』
ね？って顔を覗き込めばちょっと笑ってくれた優輔くん。
一体彼が何を考えているのか、何を思っているのかは分からないけど力になりたいって思う。
『……自分の素直の気持ちを、言ってみればいいのよ。
大切な人に言いたい事を言えないのは辛いでしょ？私もその気持ち、凄くわかるから。
だからね、自分の気持ちを勇気を出して話してみる事も大切なんだよ。
案外、すぐに答えが見つかるかもしれないから』
そう言えば何故か優輔くんから笑顔が消えて私ので握った優輔くん。
優輔｢A先生は、言えた？｣
『……え、？』
優輔｢A先生は本当の気持ち言ったの？｣
『……ううん、だから、約束する。』
優輔｢約束？｣
『私も勇気出すから、優輔くんも勇気出そう。』
優輔｢……神様に誓う？(笑)｣
『もちろん、誓うよ、』
小指と小指が絡まりあって結ばれる簡単な…だけど私達にとって人生を左右する約束。
優輔｢分かったよ、A先生に免じて僕も誓ってあげる。｣
何故かドヤ顔で偉そうに言う優輔くんが可愛くて思わず抱き締める。
優輔｢A先生も頑張ってね｣
……その約束が果たされるのはいつになるのだろう。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1276人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あられ(プロフ) - 夢主と藍沢先生が結ばれるそういう作品にしてほしいです…続き頑張って… (2018年5月23日 19時) (
レス) id: 1722f61193 (このIDを非表示/違反報告)
佐藤勝利LOVE(プロフ) - 頑張ってください これからも応援しています！ (2018年5月13日 17時) (レス) id: 9db5a86e99 (このIDを非表示/違反報告)
キラあや - いつも、続き楽しみにしています！更新お願いします！ (2018年5月11日 17時) (レス) id: bf70448eda (このIDを非表示/違反報告)
杏 - 続き楽しみにしています！ (2018年4月22日 16時) (レス) id: ce7544d8fb (このIDを非表示/違反報告)
彩 - 更新されていて嬉しいです。これからも楽しみにしてます。 (2018年3月9日 7時) (レス) id: ed5c94d402 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ラベン
| 作成日時：2017年12月7日 14時
