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「A！！！」
轟音と共にドアを蹴り破って入ってきたのは御幸だった。
御幸の叫びに、私の顔を覆っていた手がビクリと揺れる。
「…笹塚、彼女を離せ」
「嫌っ、近寄らないで…ッ！」
『っきゃ…！』
ドアのところにいた御幸が数歩こちらに近づいたのに反応した笹塚さんは、さっき投げ出したカッターを素早く持ち直す。
そして私の背後に回ると、戸惑いなく喉元に刃を立てた。
「っおいッ！！」
「私と先生は最期まで一緒なの！一緒に死 ぬんだからっ！！」
「何言ってんだ！そんなことっ」
「近寄らないでと言いました…それ以上来るなら、先生の喉を掻き切る…！！」
『いっ…、』
近寄ったら、と言ったのに興奮状態にある彼女は手元のカッターにグッと力を込めたようでプツッと刃の先が肌にくい込み、少しばかり切れた。
「雪ちゃんッ！！おい笹塚ッ…いい加減に、」
『御幸だめ…！来ちゃ、だめ！！』
「なんでだよ！！」
『駄目なの…これは、私と笹塚さんの問題だから…』
喋る度に切れた喉元がズキズキと痛む。
その痛みか、笹塚さんに対しての申し訳なさからか、理由の分からない涙が溜まって零れていた。
「はははっ、だそうですよ御幸センセ？そこで指をくわえて見ててください、私と先生の愛の心中を」
背後にいる笹塚さんは重い言葉をそれに似合わない嬉しそうな声で言った。
御幸は険しい表情を浮かべながら、私たちを見ている。
「先生、私嬉しいです。こうやって思い直して、私と一緒になる道を選んでくれて」
『…………』
「あの世でもずっと、一緒にいましょう？先生」
ぎゅっと割れ物を扱うかのように回された腕。
喉元に当てられていたカッターもいつの間にか離されている。
私は回された腕に触れると、ゆっくりと解いた。
『もうやめよう、笹塚さん』
「え、せんせ…？」
『あなたが私をどれだけ思ってくれているか、十分にわかったから。その上で、やっぱり私は笹塚さんの気持ちには答えられない』
向き合って、しっかり目を見た。
悲痛そうに歪んでいく笹塚さんの顔。
彼女の気持ちを十二分に理解していたからこそ、その様は見ていられなくて、それでも目を逸らしてはいけないと思った。
彼女がまた手元のカッターを力強く握り直しているなんて知らずに。
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きし(プロフ) - ゆきふくさん» コメントありがとうございます！これから完結に向かっていきますので、楽しみにしていただけると嬉しいです！！ (2020年11月8日 17時) (
レス) id: 8439352eb0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきふく - 以前から読ませていただいていました！夢主さんがどうなるのか、これから楽しみです！そして御幸がカッコいいです！笑 (2020年8月17日 21時) (レス) id: c4659953c6 (このIDを非表示/違反報告)
きし(プロフ) - あおいさん» コメントありがとうございます！亀更新ですが引き続き楽しみにしていただけると嬉しいです…！！ (2018年1月24日 23時) (レス) id: 94c737648e (このIDを非表示/違反報告)
あおい(プロフ) - 次の展開が気になりますね！2人の関係がどうなるのか楽しみにしています☆ (2018年1月24日 23時) (レス) id: 590107ddb0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きし | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=ddc3c3fa1c794ae02c8618bfa4b71699...
作成日時：2017年10月23日 23時
