恋は甘いと言うけれど。【山口 忠】 ページ2
.
ツッキーに彼女ができた。
『っい、やだ…!』
目の前で泣く彼女に、なんて声をかければいい?
原因なんて知ってるくせに認めたくなくて、かけるべき言葉もかけられない。
『…っずっと、いっしょ、なんて…っ、』
聞いてるのも辛くなるくらい彼女の気持ちが伝わってくる。
……逃げたい。
今すぐにこの場から。
『っ安心、してた、んだ…っ。』
恋は甘いなんて、両想いの人たちだけ。
片想いなんてさ、ただ辛い思いをするだけなんだ。
『…月島…と…、っもう、三人で帰れないかなぁ…。』
「……A…。」
俺がいるから、なんて言えるキャラじゃない。
ツッキーのことが好きなAに言えない。
『…っごめん…。ちょっと、落ち着いた…。』
頬に涙の跡をつけて、目を赤くして、無理に笑顔を作って。
それは俺のため?
俺が困ったような顔しちゃってたから?
『…失恋、しちゃったぁ…。』
……そうだね。
Aのそれは失恋かもね。
………じゃあ、俺は?
好きな人の好きな人に彼女がいる。
『…あーあ。……頑張って新しい恋を始めなきゃ…、なんて。』
俺の恋。
まだ諦めるには早いんじゃないか?
Aには悪いけど、善意ばかりじゃ恋は叶わない。
だから、今はツッキーに感謝をさせて。
「ねぇ、A。」
名前を呼べば、大きな目が俺を見る。
その目に見つめられると、俺はたじろいでしまうんだ。
「……俺は、これからもAといるから。」
言ってから恥ずかしくなって。
そういうことで、なんて最高にカッコ悪い言葉を出して逃げ出した。
逃げ出した俺が、あの言葉の後の彼女の様子を知ることはできないけれど。
望んでいいなら、笑顔であってほしい。
俺はそんな笑顔に惹かれたんだからさ。
.
隣のメモ用紙。【黒尾 鉄朗】→←星の下の公園で。【東峰 旭】
13人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
迷人 - このお話、キュンキュンしかしませんね…。爽やか文章、羨ましいです。テイクアウト可能ですか…? (2015年8月15日 2時) (レス) id: 0a7f61b567 (このIDを非表示/違反報告)
虚弱兎(プロフ) - 新作おめでとうございます!!短編集とても素敵です!!爽やかな文体とよく似合いますね!!憧れます(>_<)更新、無理せず頑張って下さいね~!応援しております!! (2015年7月30日 22時) (レス) id: bf235a5d37 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:に ゃ 。 | 作成日時:2015年7月30日 21時